この患者が利用できる社会保障制度の説明を依頼すべき職種で最も適切なのはどれか。
36 歳の男性。胸部異常陰影を指摘され来院した。現病歴 : 職場の健康診断で胸部異常陰影を指摘され、精査目的で受診した。咳と血痰の自覚はない。既往歴 : 特記すべきことはない。生活歴 : 喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。健康な妻と2 歳の息子との3 人暮らし。家族歴 : 父親が60 歳時に肺癌の手術を受けた。現 症 : 意識は清明。身長176 cm、体重68 kg。体温36.8 ℃。脈拍68/分、整。血圧126/68mmHg。呼吸数16/分。SpO2 97 %(room air)。頭頸部、胸腹部および四肢に異常を認めない。検査所見 : 血液所見:赤血球468 万、Hb 14.2 g/dL、Ht 45 %、白血球7,200、血小板26 万。血液生化学所見:AST 26 U/L、ALT 18 U/L、LD 136 U/L(基準124~222)、尿素窒素12 mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL、CEA 36 ng/mL(基準5 以下)、SCC 0.8 ng/mL(基準1.5 以下)。CRP 0.02 mg/dL。胸部エックス線写真で左上肺野の結節影、胸部CT で左肺上葉の結節影および縦隔リンパ節の腫大を認める。左肺腺癌と診断され、2 週間後から根治的化学放射線療法が予定されている。職業は会社員で癌の診断後は休職している。研修医と指導医の会話を示す。研修医 : 「この患者さんは、治療中に仕事ができず、収入がなくなることを心配しています。治療費が支払えないのではないかと言っています」指導医 : 「社会保障制度があるから、本人に情報提供したらどうかな」研修医 : 「①介護保険、②生活保護、③高額療養費制度、④指定難病医療費助成制度、⑤ひとり親家庭等医療費助成制度を考えたのですが、いかがでしょうか」
この患者が利用できる社会保障制度の説明を依頼すべき職種で最も適切なのはどれか。
- ⑴ 看護師療養上の世話や診療の補助が主な役割で、社会保障制度の説明の専門職ではありません。
- ⑵ 公認心理師心理的な支援を担う職種で、社会保障制度の説明は主な役割ではありません。
- ⑶ 介護支援専門員介護保険でのケアプラン作成を担い、36歳の本例は介護保険の対象外です。
- ⑷ 精神保健福祉士精神障害者の社会復帰支援を主に担う職種で、本例では最適ではありません。
- ⑸ 医療ソーシャルワーカー医療費や社会保障制度の相談・支援を担う職種で、最も適切です。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑸です。医療ソーシャルワーカー(MSW)は、患者や家族が抱える経済的、心理的、社会的な問題の解決や調整を支援する専門職で、高額療養費制度や傷病手当金などの社会保障制度の情報提供や手続きの支援を担います。看護師は療養上の世話や診療の補助、公認心理師は心理的支援、介護支援専門員は介護保険のケアプラン作成、精神保健福祉士は精神障害者の社会復帰支援を主な役割とします。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-01.html)を加工して作成