59 歳の男性。左肩痛を主訴に来院した。1 か月前から左肩痛を自覚するようになっ…
59 歳の男性。左肩痛を主訴に来院した。1 か月前から左肩痛を自覚するようになった。脈拍80/分、整。血圧130/70mmHg。呼吸数16/分。SpO2 99 %(roomair)。左眼瞼下垂を認める。頸静脈の怒張を認めない。心音に異常を認めない。呼吸音は左肺尖部で減弱を認める。四肢筋力に異常を認めない。血液生化学所見:血糖90 mg/dL、HbA1c5.0 %(基準4.9~6.0)、Na 140 mEq/L、K 3.8 mEq/L、Cl104 mEq/L、CEA 3.2ng/mL(基準5 以下)、SCC 7.0 ng/mL(基準1.5 以下)。気管支鏡下生検で扁平上皮癌と診断された。胸部エックス線写真(別冊No. 10A)と胸部造影CT(別冊No. 10B)を別に示す。この患者で認めるのはどれか。
- ⑴ Horner 症候群肺尖部腫瘍が交感神経幹に浸潤し、同側の眼瞼下垂を生じた状態で、本例に合致します。
- ⑵ 上大静脈症候群顔面・上肢の浮腫や頸静脈怒張を伴いますが、本例では頸静脈怒張を認めません。
- ⑶ Cushing 症候群異所性ACTH産生は主に小細胞癌でみられ、低K血症もなく合いません。
- ⑷ Lambert-Eaton 症候群小細胞癌に合併しやすく近位筋力低下をきたしますが、四肢筋力は正常です。
- ⑸ ADH 不適合分泌症候群主に小細胞癌でみられ低Na血症をきたしますが、Naは140 mEq/Lと正常です。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑴です。左肩痛、左肺尖部の呼吸音減弱、扁平上皮癌の診断から、肺尖部に発生し胸壁へ浸潤するPancoast腫瘍が考えられます。腫瘍が頸部交感神経幹(星状神経節)に浸潤すると、同側の眼瞼下垂、縮瞳、顔面の無汗を呈するHorner症候群を生じ、本例の左眼瞼下垂はこれに相当します。腕神経叢浸潤による肩や上肢の痛みも特徴です。頸静脈怒張がなく上大静脈症候群は否定的で、電解質も正常です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-01.html)を加工して作成