63歳の男性。肺癌と診断され、治療を待っている。2週前から顔と首がむくみ、朝起き…
63歳の男性。肺癌と診断され、治療を待っている。2週前から顔と首がむくみ、朝起きたときに特に顔が腫れぼったい。かがむと頭が重く感じる。首の静脈がふくらみ、前胸部の皮膚に細い静脈が浮き出ている。両脚にむくみはない。この症状が生じる仕組みとして最も適切なのはどれか。
- ⑴ 首のリンパ節に癌が転移し、リンパ液の流れが滞って首の片側が腫れているリンパの流れの障害では、首や胸の静脈が浮き出ることは説明できません。
- ⑵ 心臓の収縮する力が全体に弱まり、全身の静脈に血液がとどまっている心不全によるうっ血なら両脚のむくみが目立ちます。上半身だけのむくみは静脈の局所的な閉塞を示します。
- ⑶ 腎臓からたんぱくが大量に漏れ出し、血液中のたんぱくが減って顔がむくんでいるたんぱくの喪失によるむくみでは、首や胸の静脈が浮き出る所見は説明できません。
- ⑷ 胸の中の腫瘍が、上半身から心臓へ血液を戻す太い静脈を押しつぶしている上半身の血液を心臓へ戻す上大静脈が腫瘍で圧迫されると、顔や首、腕がむくみ、首や胸の静脈が浮き出ます。下半身のむくみはみられません。
- ⑸ 甲状腺の働きが落ちて皮膚の下に粘液のような物質がたまり、顔が腫れている甲状腺の働きの低下では静脈の怒張は起こらず、2週間で急に現れる経過も合いません。
解説
最も適切なのは、胸の中の腫瘍が、上半身から心臓へ血液を戻す太い静脈を押しつぶしているという仕組みです。上大静脈は頭、首、腕の血液を右心房へ戻す血管で、肺癌や縦隔のリンパ節の腫れで圧迫されやすい位置にあります。圧迫されると上半身の静脈の圧が上がり、顔や首のむくみ、首や前胸部の静脈の怒張が現れます。横になったり、かがんだりすると症状が強まるのが特徴で、上大静脈症候群と呼ばれます。
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