72歳の男性。陳旧性心筋梗塞があり、この1週間で息切れとむくみが強くなった。仰臥…
72歳の男性。陳旧性心筋梗塞があり、この1週間で息切れとむくみが強くなった。仰臥位で聴診すると、心尖部で、Ⅱ音のあと少し遅れて、低くこもった過剰な心音が聞こえ、馬が駆けるような3拍子のリズムになっている。この過剰な心音が生じる仕組みとして最も適切なのはどれか。
- ⑴ 収縮の終わりに大動脈弁と肺動脈弁が閉じる時期がずれ、音が2つに分かれる。これはⅡ音の分裂の説明で、Ⅱ音のあとに遅れて聞こえる低い過剰心音とは異なります。
- ⑵ 炎症で表面がざらついた心膜どうしが、拍動のたびにこすれ合って音がする。心膜摩擦音はひっかくような音で、低くこもった1つの過剰心音とは異なります。
- ⑶ 拡張の早い時期に、たまった血液が勢いよく左室に流れ込み、左室の壁を振動させる。心不全で左房に血液がたまると、拡張早期の急速な流入で左室壁が振動し、Ⅲ音が聞こえます。
- ⑷ 収縮期に僧帽弁の弁尖が左房側へ反り返り、カチッという高い音がする。僧帽弁逸脱の音は収縮期の高い音で、拡張期の低くこもった音とは時期も音色も違います。
- ⑸ 硬くなった大動脈弁の狭い隙間を、収縮期に血液が勢いよく通り抜ける。大動脈弁狭窄は収縮期の雑音であり、Ⅱ音のあとに聞こえる過剰心音ではありません。
解説
拡張の早い時期に、たまった血液が勢いよく左室に流れ込み、左室の壁を振動させるためです。この低くこもった過剰心音はⅢ音と呼ばれ、Ⅰ音、Ⅱ音と合わせて馬が駆けるような3拍子に聞こえます。心不全で左房に血液がたまり左室も広がっていると、拡張早期の急速な流入で左室の壁が振動して音が生じます。若い健康な人でも聞こえることがありますが、高齢者で聞こえれば心不全を示す大切な所見です。
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