76歳の男性。高血圧と脳梗塞で、抗血小板薬を内服している。今朝から、腹痛を伴わず…
76歳の男性。高血圧と脳梗塞で、抗血小板薬を内服している。今朝から、腹痛を伴わずに鮮やかな赤い血の混じった便が3回大量に出たため受診した。脈拍98/分、血圧118/70 mmHg。以前の大腸内視鏡検査で、大腸の壁に多数の袋状の突出を指摘されている。最も考えられる出血の原因はどれか。
- ⑴ 腸を養う動脈が詰まって腸が壊死し、その粘膜から血液がにじみ出た。腸の血管が詰まると、所見に比べて強い腹痛が起こります。この男性には腹痛がありません。
- ⑵ 肛門の近くの静脈がふくらんだ部分がこすれて、排便のたびに出血した。痔核の出血は排便時に少量であることが多く、大量の血便が繰り返すことはまれです。
- ⑶ 細菌に汚染された食べ物で腸に炎症が起こり、粘膜がただれて出血した。感染性腸炎では腹痛、下痢、発熱を伴うことが多く、腹痛のない大量の血便とは合いません。
- ⑷ 大腸の壁が外へ袋状に飛び出した部分で、そこを通る血管が破れた。高齢者で抗血小板薬を飲み、腹痛を伴わず大量の血便が出るのは、大腸憩室からの出血の典型的な経過です。
- ⑸ 胃の粘膜にできた潰瘍から出た血液が、腸を通って赤いまま出てきた。胃からの出血は通常、黒い便になります。赤い血便が大量に出るほどなら、血圧の低下も強く出ます。
解説
大腸の壁が袋状に飛び出した憩室から、そこを通る血管が破れて出血したと考えられます。大腸憩室は加齢とともに増え、憩室の部分を走る血管が破れると、腹痛を伴わずに鮮やかな赤い血便が突然大量に出ます。抗血小板薬や抗凝固薬、鎮痛薬の内服は出血の危険を高めます。胃や十二指腸からの出血は通常黒い便となり、腸の虚血では強い腹痛を伴います。
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