56歳の男性。毎日日本酒を4合以上飲んでいる。健康診断で肝機能の異常を指摘されて…
56歳の男性。毎日日本酒を4合以上飲んでいる。健康診断で肝機能の異常を指摘されて受診した。前胸部に、中心の赤い点から細い血管が足のように放射状に広がる小さな発赤が数個あり、中心を押すと周りの赤みが消える。手のひらの母指球と小指球が赤い。これらの皮膚所見が生じる主な仕組みとして最も適切なのはどれか。
- ⑴ アルコールが皮膚の細胞に直接作用し、日光に当たる部位で炎症が起こる。日光による炎症ではありません。手のひらのように日光の当たりにくい部位にも生じています。
- ⑵ 血小板が減って皮膚の血管から血液が漏れ出し、赤い斑点として見えている。出血による斑点は押しても色が消えません。中心を押すと赤みが消える所見とは異なります。
- ⑶ 肝臓でのエストロゲンの分解が落ち、血中で増えて皮膚の細い血管が広がる。肝機能が落ちるとエストロゲンが分解されにくくなり、クモ状血管腫や手掌紅斑が生じます。
- ⑷ 門脈の血液が皮膚の静脈へ流れ込み、へその周りの静脈が太くなっている。門脈圧が上がると腹壁の静脈が太くなりますが、前胸部の小さな放射状の血管や手掌の赤みとは別の所見です。
- ⑸ 胆汁の成分が皮膚にたまり、かゆみでかいた部分が赤く腫れた。かき傷による発赤は、放射状に広がる血管や押すと消える形にはなりません。
解説
肝臓でのエストロゲンの分解が落ち、血中で増えて皮膚の細い血管が広がるためです。慢性の肝障害や肝硬変では、肝臓で分解されるべきエストロゲンが体内に増えます。その作用で皮膚の細い動脈が広がり、中心から放射状に血管が伸びるクモ状血管腫や、母指球と小指球が赤くなる手掌紅斑が生じます。男性では乳房がふくらむこともあります。長年の大量飲酒と合わせて、アルコール性の肝障害を疑う所見です。
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