58歳の女性。昨日、12時間の飛行機の旅から帰国した。今朝から左のふくらはぎが腫…
58歳の女性。昨日、12時間の飛行機の旅から帰国した。今朝から左のふくらはぎが腫れて痛む。体温は36.6℃で、皮膚に赤みや熱感はない。左下腿の周囲径は右より3 cm太く、足首を背屈させるとふくらはぎが痛む。右下肢に異常はない。最も考えられるのはどれか。
- ⑴ 心臓のポンプの働きが落ち、全身に水分がたまっている。心不全による浮腫は両側に見られ、片側だけの腫れや痛みは説明できません。
- ⑵ ふくらはぎの筋肉が運動中に急に引き伸ばされて切れた。筋の断裂は運動中の急な痛みで発症し、長時間の座位のあとの腫れとは経過が異なります。
- ⑶ 下肢の深いところを流れる静脈に血栓ができている。長時間の座位のあとの片側の下腿の腫れと痛みは、深部静脈血栓症を最も疑います。
- ⑷ 皮膚と皮下組織に細菌が入り、炎症が広がっている。蜂窩織炎では発赤や熱感、発熱を伴うことが多く、この患者には見られません。
- ⑸ リンパ液の流れが滞り、皮下に液体がたまっている。リンパ浮腫は手術や放射線治療のあとなどにゆっくり生じ、急な痛みは目立ちません。
解説
下肢の深部静脈に血栓ができていることが最も考えられます。長時間同じ姿勢で座っていると下肢の静脈の血流が滞り、血栓ができやすくなります。片側の下腿の腫れ、痛み、周囲径の左右差が典型的です。血栓がはがれて肺の動脈に詰まると、急な息切れや胸痛を起こす肺血栓塞栓症になり、命にかかわります。下肢の静脈の超音波検査で確かめ、抗凝固療法を行います。
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