82歳の女性。自宅の廊下で尻もちをついて転倒し、その後、右の脚の付け根が痛くて立…
82歳の女性。自宅の廊下で尻もちをついて転倒し、その後、右の脚の付け根が痛くて立ち上がれなくなったため救急搬送された。仰臥位で右下肢は左に比べて短く、つま先が外側を向いている。股関節を動かそうとすると強く痛がる。最も考えられる病態はどれか。
- ⑴ 腰の骨の間の椎間板が飛び出して神経を押している。腰椎椎間板ヘルニアでは下肢のしびれや放散痛が出ますが、下肢の短縮と外旋は起こりません。
- ⑵ 股関節に細菌が入り込んで関節の中に膿がたまった。化膿性股関節炎は発熱を伴うことが多く、転倒直後から立てなくなる経過とは合いません。
- ⑶ 太ももの前の筋肉が強く打たれて内出血している。筋肉の打撲では立てないほどの股関節の痛みや、下肢の短縮と外旋は起こりにくいです。
- ⑷ 大腿骨の上端、股関節に近い部分が折れている。高齢女性の転倒後に立てなくなり、患肢が短縮して外旋しているのは、大腿骨近位部骨折の典型的な所見です。
- ⑸ 膝の関節の軟骨がすり減って炎症が起きている。変形性膝関節症は慢性に進む病気で、脚の付け根の痛みや下肢の短縮と外旋は起こりません。
解説
大腿骨の上端、股関節に近い部分が折れた大腿骨近位部骨折が最も考えられます。骨粗鬆症のある高齢女性では、立った高さからの軽い転倒でも起こりやすい骨折です。脚の付け根の痛みで立てなくなり、患肢が短く見えてつま先が外を向くのが特徴です。寝たきりの原因になりやすいため、全身状態が許せば早期に手術を行い、早くから離床とリハビリテーションを進めます。
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