この患者に行う造影 MRI 検査に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
60 歳女性。近医にて3 年前から2 型糖尿病、高血圧症、昨年から変形性左膝関節症と診断され、以下の処方1 ~3 の薬剤で治療している。今年、脳ドックを受けたところ脳腫瘍の疑いを指摘された。通常の MRI 検査を実施した後、さらに精査目的でガドテル酸メグルミン注射液を用いた造影 MRI 検査を総合病院に入院して行うこととなった。また、貧血予防でサプリメント(鉄)を2 年間継続的に服用している。服薬アドヒアランスに問題ないことから、入院中は処方1 ~3 とサプリメント(鉄)は自己管理となった。(処方1 )アムロジピン錠5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)シタグリプチンリン酸塩錠 50 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 28 日分(処方2 )メトホルミン塩酸塩錠 250 mg 1 回1 錠(1 日2 錠)1 日2 回 朝夕食後 28 日分(処方3 )ロキソプロフェン Na テープ 50 mg(7 × 10 cm 非温感) 4 袋(7 枚/袋)1 回1 枚 左膝に貼付(造影 MRI 検査前日の検査値)血圧 143/83 mmHg、AST 34 IU/L、ALT 34 IU/L、γ-GTP 43 IU/L、eGFR 54 mL/min/1.73 m²、HbA1c 7.0%
この患者に行う造影 MRI 検査に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 生体内の水素原子核(プロトン)は、強力な外部磁場中で2 つのエネルギー準位に分裂する。プロトンは強い外部磁場中で、核スピンの向きにより2つのエネルギー準位に分裂します。
- ⑵ ラーモア周波数よりも高い周波数のラジオ波を照射すると、プロトンは基底状態から励起状態に遷移する。プロトンを励起するには、ラーモア周波数と等しい周波数のラジオ波を照射して共鳴させる必要があります。
- ⑶ 造影剤は放射性医薬品である。ガドリニウム造影剤は常磁性を利用する造影剤で、放射線を出す放射性医薬品ではありません。
- ⑷ 造影剤はガドリニウムイオン(Gd³⁺)のキレート化合物である。ガドテル酸メグルミンは、毒性の強いGd³⁺をキレート化して安定化した化合物です。
- ⑸ 造影剤はプロトンの緩和時間を延長することにより、画像のコントラストを高める。ガドリニウム造影剤は周囲のプロトンの緩和時間を短縮することで、画像のコントラストを高めます。
解説
正解は⑴と⑷です。MRIでは、生体内の水素原子核(プロトン)が強い静磁場の中で、磁場に平行な低いエネルギー準位と反平行な高いエネルギー準位の2つに分裂します。ここにラーモア周波数と等しい周波数のラジオ波を照射すると共鳴が起こり、プロトンが励起されます。ガドテル酸メグルミンはガドリニウムイオン(Gd³⁺)をキレート化して毒性を抑えた常磁性造影剤で、プロトンの緩和時間(特にT1)を短縮して画像のコントラストを高めます。放射性医薬品ではありません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198929.html)を加工して作成