201 Tl は軌道電子捕獲によって放射性壊変をする。²⁰¹Tl に関する記述と…
73 歳男性。脳梗塞後片麻痺の後遺症がある。最近、動悸や息切れを感じて近医を受診し、急性冠症候群の疑いで総合病院を紹介された。トレッドミル、自転車エルゴメータは困難であったことから、精査目的で、塩化タリウム(²⁰¹Tl)注射液(1 回 74 MBq)及びアデノシン注射液を使用した心筋血流シンチグラフィを行うこととなった。
201 Tl は軌道電子捕獲によって放射性壊変をする。²⁰¹Tl に関する記述として正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 注射された塩化タリウム(²⁰¹Tl)は、血液中で²⁰¹Tl⁺ となり、Na⁺ と似た体内挙動を示す。Tl⁺はNa⁺ではなくK⁺と似た体内挙動を示し、Na⁺,K⁺-ATPaseを介して心筋細胞に取り込まれます。
- ⑵ 201Tl は放射性壊変によって原子番号が1 増える。軌道電子捕獲では陽子が中性子に変わるため、原子番号は1減少して²⁰¹Hgになります。
- ⑶ 201Tl はシングルフォトン放出核種である。²⁰¹Tlは壊変に伴うX線やγ線を1光子ずつ放出するシングルフォトン放出核種で、SPECTに用いられます。
- ⑷ 塩化タリウム(²⁰¹Tl)注射液の 74 MBq とは1 分間に 74 個の原子が放射性壊変をするときの放射能を表す。1 Bqは1秒間に1個の原子が壊変する放射能で、74 MBqは1秒間に7.4×10⁷個の壊変を表します。
- ⑸ 201Tl の半減期を3 日とすると、74 MBq の²⁰¹Tl の6 日後の放射能は 18.5 MBqである。6日は半減期3日の2倍なので、放射能は1/4となり、74 MBq×1/4=18.5 MBqです。
解説
正解は⑶と⑸です。²⁰¹Tlは軌道電子捕獲により壊変し、その際に放出される特性X線やγ線を1光子ずつ検出するため、SPECT(単一光子放射断層撮影)に用いるシングルフォトン放出核種です。放射能は半減期ごとに半分になるため、半減期3日の場合、6日後は2半減期で74 MBq×1/4=18.5 MBqとなります。血液中のTl⁺はK⁺と似た挙動を示し、Na⁺,K⁺-ATPaseにより心筋細胞に取り込まれます。軌道電子捕獲では原子番号が1減少し、1 Bqは1秒間に1個の壊変を表します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198929.html)を加工して作成