処方3 の薬剤を投与開始するにあたり、この患者に行う説明として適切なのはどれか。…
50 歳女性。身長155 cm、体重48 kg。B 型肝炎の既往あり。起床時の手指関節のこわばり、肘関節、膝関節の痛みを主訴として受診し、関節リウマチと診断され、処方1 と処方2 の薬剤で治療していた。その後、炎症がコントロールできず、受診した際に注射薬の追加が提案されたが、患者から「自分で注射するのは怖い。病院内で点滴してほしい。」との要望があったため、処方3 が追加されることとなった。なお、処方3 の薬剤は、製造販売業者から卸売販売業者を経て、納入されたものである。(処方1 )メトトレキサートカプセル2 mg 1 回1 カプセル(1 日2 カプセル)毎週 日曜日 1 日2 回8 時、20 時4 日分(投与実日数)(処方2 )メトトレキサートカプセル2 mg 1 回1 カプセル(1 日1 カプセル)毎週 月曜日 1 日1 回8 時4 日分(投与実日数)(処方3 )点滴静注 アバタセプト(遺伝子組換え)点滴静注用(250 mg/バイアル 2 本) 500 mg生理食塩液100 mL1 日1 回 30 分かけて投与
処方3 の薬剤を投与開始するにあたり、この患者に行う説明として適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ この薬は、免疫の異常に対して働き、関節の痛みや腫れなどの症状を改善し、関節の破壊を防止します。アバタセプトはT細胞の活性化を抑え、関節の痛みや腫れを改善し、関節破壊の進行を防止します。
- ⑵ 点滴中に息苦しくなることがありますが、一定時間安静にすれば回復しますので心配いりません。点滴中の息苦しさは過敏症(投与時反応)の可能性があるため、安静で様子を見るのではなく、すぐに医療スタッフに知らせるよう説明します。
- ⑶ この薬の投与によってB 型肝炎の再燃のリスクがありますので、定期的な検査が必要です。B型肝炎の既往がある患者では、免疫抑制によりウイルスが再活性化するおそれがあるため、定期的な検査が必要です。
- ⑷ 命にかかわるような副作用は報告されていない安全なお薬です。アバタセプトでは重篤な感染症や間質性肺炎などの重大な副作用が報告されており、安全な薬と説明するのは不適切です。
- ⑸ 点滴治療開始後は、同一成分の自己注射を希望しても変更することはできません。アバタセプトには自己注射用の皮下注製剤もあり、医師の判断で点滴から変更することは可能です。
解説
正解は⑴と⑶です。アバタセプトはT細胞の活性化に必要な共刺激シグナル(CD80/86とCD28の結合)を阻害する生物学的製剤で、免疫の異常を抑えて関節の痛みや腫れを改善し、関節破壊の進行を抑えます。この患者はB型肝炎の既往があり、免疫抑制によりB型肝炎ウイルスが再活性化するおそれがあるため、定期的な肝機能やHBV-DNAの検査が必要です。点滴中の息苦しさは過敏反応の可能性があり、すぐに知らせる必要があります。重篤な感染症などの副作用もあり、皮下注製剤への変更も可能です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成