前問で参照された検査項目で確かめられたのはどれか。1つ選べ。
55 歳女性。身長162 cm、体重51 kg。腹痛と微熱が続くため総合病院内科を受診した。来院時の体温37.6 ℃。血液検査で炎症所見、及び左下腹部に圧痛をともなう腫瘤が認められたため精査目的で入院となり、直腸がんStage Ⅳb と診断された。コンパニオン診断が実施され、その結果をもとにmFOLFOX6 (レボホリナート、フルオロウラシル、オキサリプラチン)にセツキシマブを組合せた治療を実施する方針となった。
前問で参照された検査項目で確かめられたのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ 特定のがん遺伝子が存在すること。RAS遺伝子検査は特定のがん遺伝子の存在を調べるのではなく、がん原遺伝子であるRASに変異がないかを調べるものです。
- ⑵ 特定のがん抑制遺伝子に変異が存在すること。RASはがん抑制遺伝子ではなく、がん原遺伝子です。がん抑制遺伝子の代表はTP53やAPCなどです。
- ⑶ 特定のがん原遺伝子(注)に変異が存在しないこと。セツキシマブの投与には、がん原遺伝子であるRAS遺伝子に変異が存在しない(野生型である)ことの確認が必要です。
- ⑷ 特定の薬物代謝酵素遺伝子の一塩基多型のタイプが存在すること。薬物代謝酵素遺伝子の一塩基多型を調べるのは、UGT1A1(イリノテカン)などの検査であり、RAS検査とは異なります。
- ⑸ 転座した異常染色体が存在すること。(注)がん原遺伝子:原がん遺伝子ともいう転座した異常染色体の検出は、慢性骨髄性白血病のフィラデルフィア染色体などの検査で、RAS検査とは異なります。
解説
正解は⑶です。RAS遺伝子は細胞増殖のシグナルを伝えるタンパク質をコードする、がん原遺伝子(原がん遺伝子)です。変異により常に活性型となるとがん遺伝子として働き、EGFRを阻害しても下流のシグナルが止まりません。セツキシマブを使用するには、RAS遺伝子に変異が存在しない野生型であることを確認する必要があります。がん抑制遺伝子の変異や、薬物代謝酵素の一塩基多型、染色体転座を調べる検査ではない点も押さえておきましょう。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成