この患者の検査結果及び薬物治療について、適切なのはどれか。2つ選べ。
40 歳女性。全身倦怠感が続いたため、近医を受診した。血液検査の結果は以下のとおりであった。(血液検査)赤血球424 × 10⁴/μL、白血球4,800/μL、Hb 9.0 g/dL、Ht(ヘマトクリット)32.5%、MCV(平均赤血球容積)76.7 fL(基準値80~100 fL)、MCH(平均赤血球血色素量)21.2 pg(基準値27~34 pg)、MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)27.7%(基準値30~35%)、フェリチン4.2 ng/mL(基準値5 ~157 ng/mL)、総鉄結合能(TIBC)550 μg/dL(基準値250~460 μg/dL)、不飽和鉄結合能(UIBC) ア μg/dL(基準値150~385 μg/dL)この検査結果を受け、医師から以下の薬が処方された。(処方)クエン酸第一鉄ナトリウム錠50 mg 1 回2 錠(1 日4 錠)1 日2 回 朝夕食後 14 日分
この患者の検査結果及び薬物治療について、適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 血液検査の結果から、巨赤芽球性貧血であると考えられる。巨赤芽球性貧血はMCVが高い大球性貧血です。この患者はMCVが低い小球性で、鉄欠乏性貧血と考えられます。
- ⑵ 薬で便が黒くなることがあるため、事前に情報提供しておく必要がある。鉄剤の服用により便が黒色になることがあるため、驚いて服薬を中止しないよう事前に情報提供します。
- ⑶ この薬の頻度の高い副作用に血栓塞栓症がある。経口鉄剤で頻度が高い副作用は悪心・嘔吐、腹痛、便秘・下痢などの消化器症状で、血栓塞栓症ではありません。
- ⑷ 血清鉄量が改善されたら、この薬は速やかに服用を中止する。血清鉄やヘモグロビンが改善した後も、貯蔵鉄(フェリチン)が回復するまで数か月は服用を続けます。
- ⑸ 薬を食後服用としているのは、悪心・嘔吐の副作用を軽減させるねらいがある。鉄剤は空腹時の方が吸収されやすいものの、胃腸障害を軽減するために食後服用とすることがあります。
解説
正解は⑵と⑸です。MCV・MCH・MCHCが低い小球性低色素性貧血で、フェリチン低値・総鉄結合能高値を伴うことから、鉄欠乏性貧血と考えられます。鉄剤の服用で便が黒くなることがあるため、消化管出血と誤解しないよう事前に説明しておきます。食後服用は空腹時より吸収が下がるものの、悪心・嘔吐などの消化器症状を軽減する目的で選ばれます。鉄剤はヘモグロビンが正常化した後も、フェリチンが回復して貯蔵鉄が満たされるまで数か月継続します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成