院内の安全対策研修会で、下記の事例をもとに医療事故の対応を多職種で議論した。事例…
院内の安全対策研修会で、下記の事例をもとに医療事故の対応を多職種で議論した。事例60 歳女性。関節リウマチの診断で今回より初めて1 日あたりメトトレキサートカプセル2 mg 3 カプセルが4 週間分処方された。本来、週1 回服用のところ、連日服用で、服用開始5 日目に倦怠感、食欲不振、歯肉出血を認めた。翌日には喀血により救急搬送され、当院に緊急入院となった。当日の検査の結果、口腔粘膜障害、胃腸障害、肝機能障害、骨髄抑制が認められた。議論の中で、この患者への処置について薬剤師が意見を求められた。この患者に対して効果的な対処はどれか。2つ選べ。
- ⑴ ホリナートカルシウムの投与活性型葉酸を補い、メトトレキサートによる骨髄抑制や粘膜障害を軽減する解毒薬として用いられます。
- ⑵ ビタミンK 製剤の投与ビタミンKは凝固因子の産生に必要な成分で、メトトレキサート中毒の解毒には役立ちません。
- ⑶ 薬用炭の投与連日服用で吸収はすでに進んでいるため、薬用炭の投与はこの段階の対処として効果的とはいえません。
- ⑷ アスピリン製剤の投与アスピリンなどのNSAIDsはメトトレキサートの腎排泄を遅らせ、毒性を増強させるおそれがあります。
- ⑸ 炭酸水素ナトリウム注射液の投与尿をアルカリ化してメトトレキサートの溶解度を高め、尿細管での析出を防いで排泄を促進します。
解説
正解は⑴と⑸です。この患者は週1回服用すべきメトトレキサートを連日服用したため、過量投与による口腔粘膜障害、骨髄抑制、肝障害などが起きています。対処として、ホリナートカルシウム(ロイコボリン)を投与し、メトトレキサートで阻害された葉酸代謝を補って細胞障害を抑えます。また、炭酸水素ナトリウムで尿をアルカリ化すると、メトトレキサートの尿中での溶解度が上がり、腎排泄が促進されます。アスピリンなどのNSAIDsはメトトレキサートの排泄を遅らせるため避けます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成