追加された処方4 の薬剤を服用するにあたり、この患者自身が特に注意する副作用症状…
79 歳女性。3 年前、階段を昇る時に息切れを感じるようになり受診したところ、胸部レントゲン写真で心拡大と肺うっ血を認め、心エコー検査等の結果、慢性心不全と診断された。処方1 と処方2 で治療されていたが、慢性心不全の増悪により入院した。その後、処方1 を処方3 へ変更し目立った副作用なく病態が安定した。医師は検査値等を確認し、さらに処方4 を退院時に追加し退院することになった。退院時の検査値等は以下のとおりである。(処方1 )エナラプリルマレイン酸塩錠5 mg 1 回2 錠(1 日2 錠)1 日1 回 朝食後 30 日分(処方2 )ビソプロロールフマル酸塩錠2.5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 30 日分エプレレノン錠25 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 30 日分(処方3 )サクビトリルバルサルタン錠50 mg 1 回1 錠(1 日2 錠)1 日2 回 朝夕食後 30 日分(処方4 )ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物錠10 mg1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 朝食後 30 日分(検査値)血圧110/70 mmHg、心拍60 拍/分、AST 20 IU/L、ALT 10 IU/L、BUN 15 mg/dL、血清クレアチニン0.8 mg/dL、Na 142 mEq/L、K 4.1 mEq/L、Cl 102 mEq/L、血清NT-pro BNP 1,200 pg/mL、左室駆出率(LVEF)35%、空腹時血糖102 mg/dL、HbA1c 5.8%
追加された処方4 の薬剤を服用するにあたり、この患者自身が特に注意する副作用症状として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ ふらつき浸透圧利尿による脱水や血圧低下でふらつきが起こりやすく、患者自身が気づくべき症状です。
- ⑵ 陰部搔痒感尿中グルコースの増加により性器感染症が起こりやすく、陰部のかゆみはその初期症状です。
- ⑶ 歯肉肥厚歯肉肥厚はニフェジピンなどのCa拮抗薬やフェニトインの副作用で、SGLT2阻害薬では起こりにくいです。
- ⑷ 喀痰喀痰はSGLT2阻害薬の代表的な副作用ではありません。
- ⑸ 難聴難聴はアミノグリコシド系抗菌薬やループ利尿薬などの副作用で、SGLT2阻害薬の特徴ではありません。
解説
正解は⑴と⑵です。ダパグリフロジンはSGLT2阻害薬で、尿中へのグルコース排泄とともに浸透圧利尿を起こすため、高齢者では脱水や血圧低下によるふらつきが起こりやすくなります。この患者はサクビトリルバルサルタンなどの降圧作用をもつ薬も服用しており、特に注意が必要です。また尿中の糖が増えることで、性器感染症や尿路感染症が起こりやすくなり、陰部のかゆみが初期症状として現れます。歯肉肥厚はCa拮抗薬、難聴はアミノグリコシド系などの副作用です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成