この患者は、がん悪液質が進行していると考えられた。この患者の病態に関する記述のう…
67 歳女性。身長160 cm。10 年前に右乳がんに対し乳房切除術を施行した。術後3 年で骨転移し、経年的に肝、肺にも転移した。骨転移が見つかってから、全身化学療法を実施し、現在はエリブリンによる七次治療中である。7 日前にエリブリンの5 サイクル目(1 サイクル:day1 とday8 投与、day15 休薬)のday1 の投与を行った。その後、倦怠感の出現、食欲の低下、歩行困難の進行が認められ、本日、入院となった。疼痛の訴えはない。7 日前と本日の体温、体重、主な検査値は下表のとおりである。体温・体重・検査値の推移7 日前 本日体温(℃) 36.3 38.7体重(kg) 42.6 40.1好中球数(/μL) 820 440CRP(mg/dL) 2.5 20.4
この患者は、がん悪液質が進行していると考えられた。この患者の病態に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ 全身の炎症状態を伴っている。がん悪液質では炎症性サイトカインによる全身の炎症状態を伴い、CRPも上昇するので、正しい記述です。
- ⑵ 複合的な代謝障害が起こっている。タンパク質の異化亢進やインスリン抵抗性など、複合的な代謝障害が起こるので、正しい記述です。
- ⑶ 筋肉量が減少している。骨格筋量の減少はがん悪液質の中心的な特徴なので、正しい記述です。
- ⑷ パフォーマンス・ステータスが低下している。筋肉量の減少や倦怠感によって、パフォーマンス・ステータスは低下するので、正しい記述です。
- ⑸ 総エネルギー消費量が増加している。身体活動量が大きく減るため、総エネルギー消費量はむしろ減少するとされ、増加という記述は誤りです。
解説
正解は⑸です。がん悪液質は、通常の栄養補給では完全には回復できない骨格筋量の減少を特徴とする多因子性の症候群で、炎症性サイトカインによる全身の炎症、タンパク質・脂質・糖の複合的な代謝障害を伴います。その結果、筋肉量が減ってパフォーマンス・ステータスが低下します。安静時のエネルギー消費は増えることがありますが、身体活動量が大きく減るため、総エネルギー消費量はむしろ減少するとされます。したがって⑸は誤りです。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198923.html)を加工して作成