この患児が罹患した疾病には、食事や生活習慣が関係する。一般的に、この疾病に乳幼児…
1 歳6 ヶ月男児。身長75 cm、体重10 kg。1 歳半健診で極度の下肢の変形を指摘され、医療機関を受診した。男児に既往歴はなく、出生は妊娠39 週20日、自然分娩で、身長50 cm、出生体重3,010 g、頭囲34 cm であった。出生後は完全母乳栄養で、現在は母乳に加え離乳食を1 日3 回摂取しているが、1 回の摂取量は平均的な摂取量の半分程度であった。来院時の検査値及び所見は以下のとおりであり、医師が治療薬について薬剤師に相談した。(検査値及び所見)血清25-ヒドロキシビタミンD 8 ng/mL(20 ng/mL 以下は不足)補正血清カルシウム8.0 mg/dL(基準値9.4~10.8 mg/dL)血清リン5.3 mg/dL(基準値4.5~6.2 mg/dL)血清ALP 2,039 IU/L(基準値395~1,339 IU/L)血中副甲状腺ホルモン(intact-PTH)549 pg/mL(基準値10~65 pg/mL)単純X 線像で内反膝(O 脚)、骨幹端の杯状陥凹あり。
この患児が罹患した疾病には、食事や生活習慣が関係する。一般的に、この疾病に乳幼児が罹患するのを予防するために有効な方法として正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 妊娠中に葉酸を摂取する。妊娠中の葉酸摂取は胎児の神経管閉鎖障害を予防するためのもので、くる病の予防ではありません。
- ⑵ 乳幼児に卵や牛乳の摂取を避けさせる。卵や牛乳を避けるとビタミンDやカルシウムが不足しやすくなり、くる病の予防にはなりません。
- ⑶ 乳幼児に適度な日照を受けさせる。適度な日照により皮膚でビタミンD3が産生されるため、くる病の予防に有効です。
- ⑷ 出生直後及び生後1 週間以内の新生児にビタミンK2 シロップを飲ませる。新生児へのビタミンK2シロップはビタミンK欠乏性出血症の予防が目的です。
- ⑸ 乳幼児に魚類やキノコ類を摂取させる。魚類やキノコ類はビタミンDを多く含むため、摂取はくる病の予防に有効です。
解説
正解は⑶と⑸です。ビタミンD欠乏性くる病の予防には、皮膚でのビタミンD3の産生を促すために適度な日光を浴びることと、ビタミンDを多く含む魚類やキノコ類を食事から摂ることが有効です。母乳はビタミンDの含有量が少なく、過度な紫外線対策や偏った食事制限が発症の要因となっています。卵や牛乳を避けさせるような不要な除去食は、かえってビタミンDやカルシウムの不足を招きます。妊娠中の葉酸摂取は神経管閉鎖障害の予防、新生児へのビタミンK2シロップは出血症の予防が目的です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198925.html)を加工して作成