メトトレキサートとインフリキシマブを投与した場合、この患者で期待される効果の機序…
64 歳女性。8 年前に朝の手指のこわばり、多関節痛が出現し、近医にて関節リウマチと診断された。メトトレキサート(6 mg/週)でコントロールされていたが、1 ヶ月前より関節症状が悪化したため入院した。入院時検査では、腫脹関節10ヶ所、圧痛関節6 ヶ所、赤血球沈降速度112 mm/h、CRP 8.5 mg/dL であったことから疾患活動性が高いと判断され、インフリキシマブ(3 mg/kg)を併用することになった。なお、体温37.2 ℃、血圧94/58 mmHg、脈拍数80 拍/分、ALT 80 IU/L、AST 88 IU/L であった。
メトトレキサートとインフリキシマブを投与した場合、この患者で期待される効果の機序はどれか。2つ選べ。
- ⑴ TNF-α の作用が阻害され、関節滑膜細胞の増殖が抑制される。インフリキシマブが TNF-α の作用を阻害し、関節滑膜細胞の増殖と炎症を抑えます。
- ⑵ ジヒドロ葉酸還元酵素の阻害によりリンパ球の増殖が抑制され、中和抗体の産生が抑制される。メトトレキサートはリンパ球の増殖を抑え、インフリキシマブに対する中和抗体の産生を抑制します。
- ⑶ シクロオキシゲナーゼの阻害によりプロスタグランジン合成が抑制され、疼痛が緩和される。シクロオキシゲナーゼの阻害は NSAIDs の機序で、両薬剤の主な機序ではありません。
- ⑷ IL-6 受容体が遮断され、破骨細胞の分化が抑制される。IL-6 受容体を遮断するのはトシリズマブで、両薬剤の機序ではありません。
- ⑸ 炎症局所のアデノシン受容体が遮断され、炎症反応が抑制される。メトトレキサートは細胞外アデノシンを増やしてアデノシン受容体を刺激し、抗炎症作用を示すとされます。遮断ではありません。
解説
正解は⑴と⑵です。インフリキシマブは TNF-α に対するキメラ型モノクローナル抗体で、TNF-α の作用を阻害して関節滑膜の炎症と滑膜細胞の増殖を抑えます。メトトレキサートはジヒドロ葉酸還元酵素を阻害してリンパ球の増殖を抑え、関節リウマチを抑えるとともに、インフリキシマブに対する中和抗体の産生を抑えて効果の減弱を防ぎます。このためインフリキシマブはメトトレキサートとの併用が必須とされています。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成