この患者に欠乏していると考えられるビタミンに関する記述のうち、正しいのはどれか。…
68 歳男性。身長168 cm、体重58 kg。6 年前に胃の全摘手術を受けている。1 週間前から息切れと全身倦怠感を感じていた。今回、著しい食欲不振のため食事が摂れなくなり、めまいも伴うので外来を受診した。血液検査の結果は、以下のとおりである。(検査値)BUN 11.1 mg/dL、血清クレアチニン値0.6 mg/dL、赤血球数221 × 10⁴/μL、Hb 9.7 g/dL、MCV 122.2 fl、MCH 43.9 pg、MCHC 35.9%、血清鉄101 μg/dL、フェリチン56 μg/dL、PT-INR 1.10、便潜血 陰性
この患者に欠乏していると考えられるビタミンに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ このビタミンの欠乏の原因の一つに、動物性食品の摂取不足があげられる。ビタミン B12 は主に動物性食品に含まれるため、その摂取不足は欠乏の原因の一つになります。
- ⑵ このビタミンは、プロリンやリシンの水酸化酵素の補酵素としてコラーゲン合成に関与する。プロリンやリシンの水酸化酵素の補酵素としてコラーゲン合成に関わるのはビタミン C です。
- ⑶ このビタミンは、唾液由来のトランスコバラミンとの複合体として、小腸から吸収される。ビタミン B12 は胃の壁細胞から分泌される内因子と複合体を形成して回腸で吸収されます。トランスコバラミンは血中の輸送タンパク質です。
- ⑷ このビタミンは、葉酸代謝におけるメチル基転位反応に関与する。ビタミン B12 はメチオニン合成酵素の補酵素として、葉酸代謝におけるメチル基転移に関与します。
- ⑸ このビタミンは、生体内でチアミンピロリン酸として糖代謝に関与する。チアミンピロリン酸として糖代謝に関わるのはビタミン B1 です。
解説
正解は⑴と⑷です。この患者で欠乏しているのはビタミン B12(コバラミン)です。ビタミン B12 は主に肉、魚、卵、乳製品などの動物性食品に含まれるため、厳格な菜食などによる動物性食品の摂取不足も欠乏の原因となります。体内ではメチオニン合成酵素の補酵素として、5-メチルテトラヒドロ葉酸からホモシステインへのメチル基転移に関わり、欠乏すると葉酸代謝も障害されて巨赤芽球性貧血を生じます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成