この処方を調製する際には、難溶性の凝集体が生成することがある。確実に溶解させるた…
17 歳男性。身長175 cm、体重72 kg。悪性軟部肉腫に対し、以下の処方で初期治療を行うことになった。(処方)ドキソルビシン塩酸塩注射用 120 mg生理食塩液50 mL 1 本30 分かけて点滴静注
この処方を調製する際には、難溶性の凝集体が生成することがある。確実に溶解させるための操作として、適切なのはどれか。2つ選べ。なお、処方にない溶解液を用いる場合は、医師に確認した上で行うものとする。
- ⑴ 微量の生理食塩液をゆっくり加えて攪拌後、生理食塩液50 mL に混合する。微量の溶解液をゆっくり加えると局所的に高濃度となり、難溶性の凝集体が生じやすくなります。
- ⑵ 溶解に必要な量の生理食塩液を素早く加えて攪拌後、生理食塩液50 mL に混合する。溶解に必要な量の生理食塩液を素早く加えて撹拌すると、凝集を防いで確実に溶解できます。
- ⑶ 溶解に必要な量の注射用水を素早く加えて攪拌後、生理食塩液50 mL に混合する。注射用水も溶解液として用いることができ、必要量を素早く加えて撹拌すると確実に溶解できます。
- ⑷ 溶解に必要な量の7 %炭酸水素ナトリウム液を素早く加えて攪拌後、生理食塩液50 mL に混合する。炭酸水素ナトリウム液はアルカリ性で、ドキソルビシンを分解させるため用いません。
- ⑸ 溶解に必要な量の10%塩化ナトリウム液を素早く加えて攪拌後、生理食塩液50 mL に混合する。10%塩化ナトリウム液は高張で、塩析により凝集体が生じやすくなるため用いません。
解説
正解は⑵と⑶です。ドキソルビシン塩酸塩注射用は凍結乾燥品で、少量の溶解液をゆっくり加えると局所的に濃度が高くなり、難溶性の凝集体を生じることがあります。そのため、溶解に必要な量の生理食塩液又は注射用水を一度に素早く加え、よく振り混ぜて完全に溶かしてから輸液に混合します。アルカリ性の液はドキソルビシンを分解させ、高濃度の塩化ナトリウム液は凝集を促すため用いません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成