前問の対応の1 つについて、その原因となる、XELOX 療法に伴う生理学的あるい…
64 歳男性。心筋梗塞、慢性胃炎。5 年前に心筋梗塞を発症して以来、以下の処方薬を継続的に服用している。最近、血便が頻回に認められたため受診し、内視鏡検査を受けたところ大腸がんと診断され、摘出手術を受けた。明日からXELOX 療法※を実施する予定である。※ XELOX 療法:カペシタビン + オキサリプラチン(処方)ワルファリン錠1 mg 1 回2.5 錠(1 日2.5 錠)1 日1 回 朝食後 28 日分ファモチジン錠10 mg 1 回1 錠(1 日2 錠)1 日2 回 朝夕食後 28 日分
前問の対応の1 つについて、その原因となる、XELOX 療法に伴う生理学的あるいは薬物動態学的な変化はどれか。1つ選べ。
- ⑴ 胃内容排出時間の延長胃内容排出時間の延長は吸収の速さに影響しますが、ワルファリンの作用増強の主な原因ではありません。
- ⑵ アルブミン濃度の低下アルブミンの低下で遊離形は一時的に増えますが、XELOX療法による作用増強の主な機序ではありません。
- ⑶ CYP3A4 の誘導CYP3A4が誘導されるとワルファリンの代謝はむしろ促進され、出血リスクの上昇とは逆方向です。
- ⑷ CYP2C9 の阻害カペシタビンによりCYP2C9の働きが低下し、S-ワルファリンの代謝が妨げられて作用が増強します。
- ⑸ 腎血漿流量の低下ワルファリンは主に肝代謝で消失するため、腎血漿流量の低下は作用増強の主な原因ではありません。
解説
正解は⑷です。前問のワルファリンによる出血リスクの上昇は、カペシタビン(またはその代謝物の5-FU)がCYP2C9の働きを低下させ、ワルファリンの活性の強いS体の代謝を妨げることによると考えられています。その結果、ワルファリンの血中濃度が上がり、PT-INRが延長して出血しやすくなります。カペシタビン併用時はPT-INRを頻回に測定し、ワルファリンの用量を調整する必要があります。胃内容排出の遅延、アルブミンの低下、CYP3A4の誘導、腎血漿流量の低下は主な原因ではありません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198923.html)を加工して作成