薬物の胎児への移行に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
薬物の胎児への移行に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 母体血と胎児血が胎盤内で混ざり合うことで、薬物は母体血から胎児血へ移行する。母体血と胎児血は胎盤内で絨毛の膜を隔てて接しており、混ざり合うことはありません。
- ⑵ 胎盤にはP-糖タンパク質が発現し、薬物の胎児血への移行を抑制している。胎盤にはP-糖タンパク質が発現し、基質薬物を母体側へ排出して胎児への移行を抑えています。
- ⑶ 胎盤にはシトクロムP450 などの薬物代謝酵素が存在しないため、薬物は胎盤で代謝を受けることなく胎児血に移行する。胎盤にもCYP1A1などの薬物代謝酵素が存在し、一部の薬物は胎盤で代謝を受けます。
- ⑷ 胎盤には母体血中の抗体を胎児に移行させる透過機構が存在しないため、全ての抗体医薬品は胎児血に移行しない。胎盤にはFcRnによるIgGの輸送機構があり、IgG型の抗体医薬品は胎児血に移行することがあります。
- ⑸ 薬物は母体血中でアルブミンと結合した状態では、胎盤を介して胎児血に移行しない。アルブミンと結合した薬物は分子が大きく胎盤を透過できず、非結合形のみが胎児血に移行します。
解説
正解は⑵と⑸です。胎盤の合胞体栄養膜細胞にはP-糖タンパク質などの排出トランスポーターが発現しており、基質となる薬物を母体側へくみ出すことで胎児への移行を抑えています。また薬物はアルブミンと結合したままでは胎盤を透過できず、非結合形の薬物だけが移行します。母体血と胎児血は胎盤内で混ざり合いません。胎盤にはCYPなどの薬物代謝酵素も存在し、IgG型の抗体医薬品は胎児性Fc受容体(FcRn)を介して胎児に移行することがあります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198923.html)を加工して作成