検体中における、ある微生物の存在を調べるために、リアルタイムPCR 法を実施した…
検体中における、ある微生物の存在を調べるために、リアルタイムPCR 法を実施した。以下に示す測定手順で行い、測定した結果を図に示す。この実験に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。測定手順3 つの検体(試料1 ~3 )をサンプルチューブに別々に採取し、それぞれにDNA 抽出用の試薬を加える。↓抽出したDNA を定量する。↓各検体から一定量のDNA を別々のチューブに取り、それぞれのチューブに二本鎖DNA を検出する蛍光色素、デオキシヌクレオチド混合物、プライマー1 組、酵素を含む反応液を加えて、PCR を開始する。↓蛍光強度を測定することで、反応産物が増幅されていく経過を追いながら、PCRを約40 サイクルまで繰り返す。
- ⑴ 目的とする微生物の存在量が最も多かったのは、試料3 である。閾値に達するサイクル数が最も多い試料3は、初期の存在量が最も少ないと考えられます。
- ⑵ この測定手順で、細菌、DNA ウイルス及びRNA ウイルスの検出が可能である。この手順には逆転写の工程がないため、RNAウイルスはそのままでは検出できません。
- ⑶ 試料1 と試料3 に含まれる微生物の存在量は、約10⁶ 倍異なると推定される。Ct値の差が約6サイクルなら、存在量の差は約2⁶=64倍で、10⁶倍ではありません。
- ⑷ 各試料とも25 サイクルを超えるあたりから曲線が頭打ちになる主な原因は、デオキシヌクレオチドが枯渇するためである。サイクルが進むとデオキシヌクレオチドなどの基質が枯渇して増幅効率が落ち、曲線が頭打ちになります。
- ⑸ PCR 開始時に反応液に加える酵素には耐熱性のものを用いる。PCRでは約95℃の熱変性を繰り返すため、Taq DNAポリメラーゼのような耐熱性酵素を用います。
この問題は問題の図(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑷と⑸です。リアルタイムPCRでは、増幅曲線が閾値に達するサイクル数(Ct値)が小さいほど初期の鋳型量が多いことを示し、1サイクルで約2倍になるため6サイクルの差は約2⁶=64倍の差に相当します。後半で曲線が頭打ちになるのは、基質のデオキシヌクレオチドなど反応成分が枯渇するためです。熱変性で失活しないよう耐熱性DNAポリメラーゼを用います。RNAウイルスの検出には逆転写の工程が必要です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198923.html)を加工して作成