火災の現場から救出された男性に、意識障害と強い乳酸アシドーシスがみられ、一酸化炭…
火災の現場から救出された男性に、意識障害と強い乳酸アシドーシスがみられ、一酸化炭素に加えてシアン化物による中毒も疑われた。シアン化物が毒性を示す仕組みとして、正しいのはどれか。
- ⑴ 細胞内で酸化と還元を繰り返して活性酸素を生じ、肺の線維化を進める。これはパラコートの毒性の仕組みです。
- ⑵ ヘモグロビンの2価の鉄に酸素よりはるかに強く結合し、血液による酸素の運搬を妨げる。これは一酸化炭素の毒性の仕組みです。シアン化物は細胞が酸素を使う段階を阻害します。
- ⑶ アセチルコリンエステラーゼのセリン残基をリン酸化し、神経の興奮を持続させる。これは有機リン系の化合物の毒性の仕組みで、シアン化物の作用ではありません。
- ⑷ シトクロムcオキシダーゼの3価の鉄に結合し、細胞が酸素を利用できなくする。シアン化物イオンは呼吸鎖の末端の酵素を阻害し、酸素があっても細胞呼吸ができなくなります。
- ⑸ 肝臓で酸化されてギ酸となり、網膜の細胞を障害して視力を低下させる。これはメタノールの毒性の仕組みです。
解説
正解は、シトクロムcオキシダーゼの3価の鉄に結合し、細胞が酸素を利用できなくするというものです。シアン化物イオンは呼吸鎖の末端の酵素を阻害するため、血液中に酸素があっても細胞は好気的な呼吸ができず、嫌気的な代謝が進んで乳酸アシドーシスになります。火災では樹脂などの燃焼でシアン化水素が生じます。治療にはヒドロキソコバラミンなどの解毒薬が用いられます。
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