ある医薬品の結晶が水に溶ける過程は吸熱過程である。この医薬品の結晶と飽和水溶液と…
ある医薬品の結晶が水に溶ける過程は吸熱過程である。この医薬品の結晶と飽和水溶液とが一定温度で平衡にある系について、平衡の移り方に関する記述として正しいのはどれか。
- ⑴ 温度を上げると平衡は溶解の側へ移り、溶解度は大きくなる。吸熱の向きは溶解の向きなので、加熱するとその向きへ平衡が移り、溶解度が増えます。
- ⑵ 平衡定数は温度によらない値で、温度で変わるのは溶解の速さの方である。平衡定数は温度の関数で、ファントホッフの式に従って温度とともに変化します。
- ⑶ 結晶を追加で加えると、平衡定数が大きくなって溶液の濃度も上昇する。固体を加えても平衡定数は変わらず、一定温度の飽和溶液の濃度は同じままです。
- ⑷ 溶解の標準エンタルピー変化は負の値で、加熱すると平衡定数は小さくなる。吸熱過程なので標準エンタルピー変化は正の値で、加熱すると平衡定数は大きくなります。
- ⑸ 撹拌を続けると、溶ける速さに加えて溶解度そのものも増えていく。撹拌で変わるのは平衡に達するまでの速さで、平衡の位置である溶解度は変わりません。
- ⑹ 冷蔵庫で冷やして保存すると、平衡が溶解の側に移って溶液の濃度は上がる。冷やすと発熱の向き、つまり析出の向きへ平衡が移り、溶液の濃度は下がります。
解説
正解は、温度を上げると平衡が溶解の側へ移り、溶解度が大きくなることです。ルシャトリエの原理により、加熱すると平衡は熱を吸収する向きへ移ります。この系では溶解が吸熱の向きなので、溶解度が増えます。平衡定数は温度で変わりますが、固体を加えたり撹拌したりしても変わりません。撹拌は平衡に達するまでの時間を短くするだけで、平衡の位置には影響しません。
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