原薬の結晶多形を見分けるため、粉末X線回折の測定を行った。結晶に当てたX線が特定…
原薬の結晶多形を見分けるため、粉末X線回折の測定を行った。結晶に当てたX線が特定の角度で強い回折を示す理由として、正しいのはどれか。
- ⑴ X線の波長が格子面の間隔と同程度で、散乱されたX線が特定の方向で強め合うため。格子面の間隔と同じ程度の波長のX線が散乱され、ブラッグの条件を満たす角度で干渉して強め合います。
- ⑵ 結晶中の分子の振動がX線で励起され、吸収される波数が結晶形ごとに異なる値をとるため。分子の振動を励起するのは赤外線で、これは赤外吸収スペクトル測定の原理です。
- ⑶ 磁場の中で原子核のスピンの向きがX線で反転し、その共鳴の周波数が結晶形で変わるため。核スピンの反転はラジオ波で起こり、核磁気共鳴の原理です。X線は用いません。
- ⑷ X線が原子から内殻の電子をたたき出し、飛び出した電子の運動の向きが結晶面で決まるため。電子を放出させて測るのは光電子分光法で、回折の角度は散乱されたX線の干渉で決まります。
- ⑸ 偏光したX線の振動面が結晶の中で回転し、その回転の大きさが結晶形ごとに異なるため。振動面の回転は旋光で、可視光で測る旋光度測定の原理です。回折とは別の現象です。
解説
正解は、X線の波長が格子面の間隔と同程度で、散乱されたX線が特定の方向で強め合うためです。結晶では原子が規則正しく並んでおり、間隔dの格子面で散乱されたX線は、行路差が波長の整数倍になる角度で干渉して強め合います。結晶多形では格子の間隔が異なるため、回折の角度の並びが変わり、粉末X線回折で見分けられます。振動の励起は赤外線、核スピンの反転はラジオ波によるものです。
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