68歳の男性。短腸症候群のため、微量元素製剤を加えない中心静脈栄養を1年以上続け…
68歳の男性。短腸症候群のため、微量元素製剤を加えない中心静脈栄養を1年以上続けていた。下肢の筋肉痛と爪の白色化が現れ、心機能の低下も指摘された。血液検査では貧血や白血球の減少はみられなかった。不足が疑われる元素と、その生体内での働きの説明として、正しいのはどれか。
- ⑴ 銅が不足しており、銅はシトクロムcオキシダーゼに含まれて電子の受け渡しに働く。銅の働きの説明は正しいものの、銅の欠乏で目立つのは貧血や白血球の減少で、この症状には合いません。
- ⑵ 亜鉛が不足しており、亜鉛はヘモグロビンのヘムの中心に入って酸素の運搬に働く。ヘムの中心にあるのは鉄で、亜鉛の欠乏では皮膚炎や味覚障害、創傷治癒の遅れが目立ちます。
- ⑶ クロムが不足しており、クロムは甲状腺ホルモンの構成成分として基礎代謝の維持に働く。甲状腺ホルモンの構成成分はヨウ素で、クロムの欠乏では耐糖能の低下や末梢神経障害がみられます。
- ⑷ セレンが不足しており、セレンはグルタチオンペルオキシダーゼの成分として過酸化物を分解する。セレン欠乏では心筋症や筋肉痛、爪の白色化がみられ、抗酸化酵素の働きが低下します。
- ⑸ マンガンが不足しており、マンガンはビタミンB12の中心金属として造血に働く。ビタミンB12の中心金属はコバルトで、マンガンはスーパーオキシドジスムターゼなどの酵素に含まれます。
解説
正解は⑷です。微量元素を補わない中心静脈栄養を長く続けると、セレンが欠乏して心筋症、筋肉痛、爪の白色化などが起こります。セレンはグルタチオンペルオキシダーゼの構成成分で、過酸化水素や過酸化脂質を分解して細胞を酸化から守ります。亜鉛欠乏は皮膚炎や味覚障害、銅欠乏は貧血や白血球の減少を起こします。ビタミンB12の中心金属はコバルト、甲状腺ホルモンの成分はヨウ素です。
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