62歳の女性。乳がんで、抗体に抗がん薬を結合させた薬の点滴を受けることになった。…
62歳の女性。乳がんで、抗体に抗がん薬を結合させた薬の点滴を受けることになった。患者から薬の工夫について質問され、薬剤師は薬物送達システムの3つの考え方を整理した。次のうち、標的指向化の考え方に基づく工夫として、最も適切なのはどれか。
- ⑴ 難溶性の薬物を水溶性の高分子の中に非晶質で分散させ、溶ける速さを高める。溶け方を改善して吸収を高める工夫で、吸収の改善の考え方に当たります。
- ⑵ 有効成分を皮膚に貼る製剤にして、血中濃度を長い時間ほぼ一定に保つようにする。長時間一定の速さで放出させる工夫で、放出の制御の考え方に当たります。
- ⑶ 有効成分を脂溶性の高いエステルに変えて、小腸からの吸収を高めるようにする。膜の透過性を高める工夫で、吸収の改善の考え方に当たります。
- ⑷ 錠剤の外側を半透膜で覆って小さな孔をあけ、一定の速さで薬物を押し出させる。放出の速さを一定にする工夫で、放出の制御の考え方に当たります。
- ⑸ がん細胞の表面の抗原に結合する抗体に抗がん薬をつなぎ、がん細胞に選んで取り込ませる。薬物を作用させたい細胞に届け、他の細胞への作用を減らすのが標的指向化です。
解説
正解は⑸です。薬物送達システムは、必要な部位に、必要な量の薬物を、必要な時間だけ届けることを目指す技術です。放出の速さを調節する放出制御、溶解性や膜の透過性を高める吸収改善、目的の部位に薬物を集める標的指向化に分けられます。抗体薬物複合体は、抗体ががん細胞の表面の抗原を認識することで抗がん薬をがん細胞に届ける標的指向化の例で、正常な細胞への作用を減らせます。
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