ヒトのペプチドホルモンを大腸菌でつくらせる計画で、ヒトの染色体から切り出した遺伝…
ヒトのペプチドホルモンを大腸菌でつくらせる計画で、ヒトの染色体から切り出した遺伝子ではなく、mRNAをもとに合成した相補的DNAを発現ベクターに組み込むことにした。この理由として、正しいのはどれか。
- ⑴ ヒトの遺伝子は大腸菌とは異なる遺伝暗号の表を使っており、相補的DNAにすると暗号が読み替えられるから。遺伝暗号はほぼすべての生物で共通で、相補的DNAにしても暗号が読み替えられるわけではありません。
- ⑵ 大腸菌はmRNAを直接たんぱく質に翻訳できず、いったんDNAに逆転写してからでないと利用できないから。大腸菌も自らのmRNAを直接翻訳しています。逆転写は相補的DNAを試験管内でつくるための操作です。
- ⑶ 相補的DNAは一本鎖のまま安定に存在でき、大腸菌の染色体の中へ組み込まれやすい性質をもつから。ベクターに組み込む相補的DNAは二本鎖にして用います。一本鎖であることが選ぶ理由ではありません。
- ⑷ 染色体から切り出した遺伝子は制限酵素で切断されにくく、プラスミドに連結することが難しいから。染色体のDNAも制限酵素で切断でき、切断のしやすさが相補的DNAを選ぶ理由ではありません。
- ⑸ 大腸菌はスプライシングを行えず、イントロンを含む遺伝子からは正しいたんぱく質ができないから。相補的DNAはスプライシング後のmRNAから逆転写されるため、イントロンを含まず大腸菌でもそのまま翻訳されます。
解説
正解は⑸です。ヒトなどの真核生物の遺伝子はエキソンの間にイントロンをもち、転写後にスプライシングで取り除かれて成熟したmRNAになります。大腸菌はスプライシングの仕組みをもたないため、染色体の遺伝子をそのまま導入しても正しいたんぱく質ができません。そこで成熟したmRNAから逆転写酵素で相補的DNAをつくり、プロモーターをもつ発現ベクターに組み込んで大腸菌に導入します。
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