乳がんの化学療法にパクリタキセルが用いられた。パクリタキセルが細胞の増殖を抑える…
乳がんの化学療法にパクリタキセルが用いられた。パクリタキセルが細胞の増殖を抑える機序として、正しいのはどれか。
- ⑴ 重合した微小管に結合して脱重合を妨げ、微小管を過剰に安定化させて細胞分裂を止める。パクリタキセルは微小管を安定化させ、紡錘体が正常に働けなくなって分裂中期で細胞が止まります。
- ⑵ チューブリンの二量体に結合して重合そのものを妨げ、紡錘体ができないようにして分裂を止める。チューブリンの重合を阻害するのはビンクリスチンなどビンカアルカロイドの作用です。
- ⑶ トポイソメラーゼⅠとDNAの複合体を安定化し、一本鎖の切断部分が再結合するのを妨げる。トポイソメラーゼⅠの阻害はイリノテカンなどの作用で、パクリタキセルの機序ではありません。
- ⑷ 上皮成長因子受容体のチロシンキナーゼを阻害し、がん細胞の増殖のシグナルを止める。チロシンキナーゼの阻害はゲフィチニブなどの分子標的薬の作用です。
- ⑸ チミジル酸合成酵素を阻害し、DNAの合成に必要なチミジンヌクレオチドの供給を断つ。チミジル酸合成酵素の阻害はフルオロウラシルの主な作用です。
解説
正解は⑴です。パクリタキセルはタキサン系の抗悪性腫瘍薬で、チューブリンが重合してできた微小管に結合し、脱重合を妨げて微小管を安定化させます。細胞分裂の際には紡錘体の微小管が伸び縮みする必要があるため、安定化しすぎると染色体を正しく分配できず、細胞は分裂中期で停止して死に至ります。ビンクリスチンなどのビンカアルカロイドは逆に微小管の重合を妨げます。副作用として末梢神経障害や骨髄抑制が知られています。
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