農薬を誤って飲んだ成人が救急搬送された。縮瞳、流涎、発汗の増加、徐脈、筋線維束れ…
農薬を誤って飲んだ成人が救急搬送された。縮瞳、流涎、発汗の増加、徐脈、筋線維束れん縮がみられ、有機リン系殺虫剤による中毒が疑われた。この中毒の主な機序として正しいのはどれか。
- ⑴ ヘモグロビンに酸素より強く結合し、組織への酸素の運搬が妨げられる。これは一酸化炭素中毒の機序で、縮瞳や流涎は起こりません。
- ⑵ アセチルコリンエステラーゼがリン酸化されて働かず、アセチルコリンがたまる。分解されないアセチルコリンがムスカリン受容体とニコチン受容体を過剰に刺激し、症状が出ます。
- ⑶ シトクロムcオキシダーゼが阻害され、細胞が酸素を利用できなくなる。これはシアン化合物や硫化水素による中毒の機序です。
- ⑷ 肝臓のグルタチオンが枯渇し、反応性の代謝物が肝細胞に結合する。これはアセトアミノフェンの過量服用による肝障害の機序です。
- ⑸ ムスカリン受容体を遮断し、副交感神経の働きが抑えられる。受容体の遮断なら散瞳や口渇が起こり、観察された症状と逆になります。
解説
主な機序は、アセチルコリンエステラーゼのリン酸化による不可逆的な阻害です。分解されずにたまったアセチルコリンがムスカリン受容体を刺激して縮瞳・流涎・発汗・徐脈を、ニコチン受容体を刺激して筋線維束れん縮を起こします。治療には、ムスカリン様症状を抑えるアトロピンと、リン酸化された酵素を再賦活するプラリドキシムが用いられます。後者は酵素の老化が進む前に投与することが重要です。
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