54 歳の男性。3 週間前から持続する両眼の眼瞼下垂と複視を主訴に来院した。症状…
54 歳の男性。3 週間前から持続する両眼の眼瞼下垂と複視を主訴に来院した。症状は午後から夕方にかけて悪化し、食事摂取時に時々むせやすく、飲み込みにくさを自覚している。糖尿病と高血圧症の既往はない。瞳孔不同はなく対光反射は正常である。頭痛と運動失調は認めない。9 方向むき眼位(別冊No. 6A)、眼瞼を挙上していない第1 眼位(別冊No. 6B)および輻湊(別冊No. 6C)の写真を別に示す。この疾患でみられるのはどれか。
- ⑴ 異常神経支配異常神経支配はDuane症候群や動眼神経麻痺後の迷入再生でみられます。
- ⑵ 外眼筋の伸展障害外眼筋の伸展障害は甲状腺眼症など機械的制限の所見です。
- ⑶ 眼圧上昇眼圧上昇は甲状腺眼症で上方視時にみられることがありますが、重症筋無力症の所見ではありません。
- ⑷ 深部腱反射の消失深部腱反射の消失はFisher症候群などでみられ、重症筋無力症では保たれます。
- ⑸ 反復誘発筋電図でwaning 現象神経筋接合部の伝達障害で、反復刺激により振幅が漸減するwaning現象がみられます。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑸です。両眼の眼瞼下垂と複視が午後から夕方に悪化する日内変動、嚥下障害やむせを伴い、瞳孔が正常である経過は、全身型の重症筋無力症を示しています。写真は確認できませんが、9方向むき眼位で多方向の制限がみられる所見が想定されます。重症筋無力症では神経筋接合部の伝達が障害されるため、反復誘発筋電図で刺激を繰り返すと振幅が次第に低下するwaning現象がみられます。抗アセチルコリン受容体抗体の測定も診断に有用です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-10.html)を加工して作成