38歳の男性。右眼に金属片が刺さる外傷を受け、手術で傷を閉じた。2か月後、外傷を…
38歳の男性。右眼に金属片が刺さる外傷を受け、手術で傷を閉じた。2か月後、外傷を受けていない左眼にも、かすみと充血が出現した。診察では両眼に肉芽腫性のぶどう膜炎がみられた。左眼に炎症が起きた仕組みとして最も考えられるのはどれか。
- ⑴ 右眼に残った金属が少しずつ溶け、その成分が血液を通して左眼の網膜に沈着した。金属の沈着による障害は、金属片が残った眼に起こるものです。反対の眼にぶどう膜炎を起こす仕組みではありません。
- ⑵ 右眼の肥満細胞から出たヒスタミンが全身を巡り、左眼の血管から水分が漏れやすくなった。ヒスタミンによる即時型の反応は数分で起こるもので、2か月後に肉芽腫性のぶどう膜炎を起こす仕組みではありません。
- ⑶ 右眼の視神経に起きた変性が視交叉を経て広がり、左眼の視神経まで及んだ。視神経の変性では視力や視野が低下しますが、充血を伴う肉芽腫性のぶどう膜炎は起こりません。
- ⑷ 外傷で眼内の色素細胞などの抗原が免疫系に触れ、その抗原を攻撃するT細胞が左眼も攻撃した。ふだん免疫系から隔てられているぶどう膜の抗原が外傷でさらされ、自己免疫反応が両眼に起こります。交感性眼炎と呼ばれます。
- ⑸ 外傷の傷口から入った細菌が血液に乗って運ばれ、左眼の脈絡膜で増えて膿のかたまりをつくった。細菌が血流で運ばれる眼内炎とは異なり、この病気は感染ではなく、両眼に同じ肉芽腫性の炎症が起こる自己免疫の病気です。
解説
最も考えられるのは、外傷によって眼内の抗原が免疫系にさらされ、その抗原を攻撃するT細胞が反対眼も攻撃した仕組みです。ぶどう膜の色素細胞などの抗原は、ふだん免疫系から隔てられています。穿孔性の外傷でこれらが免疫系に触れると、数週から数か月後に両眼で肉芽腫性のぶどう膜炎が起こります。これを交感性眼炎といい、細菌感染や即時型アレルギーとは異なる自己免疫の反応です。
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