8歳の男児。斜視の治療の一つとして、医師が外眼筋にボツリヌス毒素を注射することに…
8歳の男児。斜視の治療の一つとして、医師が外眼筋にボツリヌス毒素を注射することになった。保護者への説明に用いる、この薬が筋に働く仕組みとして正しいのはどれか。
- ⑴ 神経の終末からアセチルコリンが出るのを妨げ、筋の収縮を弱める。ボツリヌス毒素は運動神経終末からのアセチルコリンの放出を妨げ、注射した筋を一時的に麻痺させます。
- ⑵ アセチルコリンを分解する酵素を妨げ、筋の収縮を強める。分解酵素を阻害して収縮を強めるのはネオスチグミンなどの作用で、重症筋無力症の治療に使います。
- ⑶ 筋の中の筋紡錘の感覚を鈍くし、筋が伸びたときの反射を抑える。筋紡錘は筋の長さを感じる受容器です。ボツリヌス毒素は感覚ではなく運動神経の伝達に働きます。
- ⑷ ノルアドレナリンの受容体を遮断し、筋の中の血管を広げる。アドレナリン受容体の遮断は交感神経の働きを抑える薬の作用で、骨格筋の収縮の抑制とは別の仕組みです。
- ⑸ 筋線維の細胞を溶かして減らし、筋そのものを短くする。ボツリヌス毒素は筋の細胞を壊すのではなく、神経から筋への伝達を止めます。効果は数か月で薄れます。
解説
神経終末からのアセチルコリンの放出を妨げ、筋の収縮を弱める仕組みが正解です。ボツリヌス毒素は運動神経の終末に取り込まれ、アセチルコリンを含む小胞が放出されるのを妨げます。その結果、注射した外眼筋が一時的に麻痺し、眼位が変わります。効果は数か月で薄れ、神経の終末が再生すると収縮は戻ります。分解酵素を妨げて収縮を強めるのはネオスチグミンの作用です。
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