25歳の男性。右の頸部の側方で、胸鎖乳突筋の前縁に沿って、やわらかく波動を触れる…
25歳の男性。右の頸部の側方で、胸鎖乳突筋の前縁に沿って、やわらかく波動を触れる腫れがゆっくり大きくなってきた。摘出した嚢胞の壁は重層扁平上皮で覆われ、上皮の下にリンパ組織がみられた。この嚢胞の発生のもとになった胎生期の構造として最も適切なのはどれか。
- ⑴ 下垂体の前葉を作ったラトケ嚢の名残ラトケ嚢の名残は頭蓋の内部のトルコ鞍の付近に生じます。
- ⑵ 歯胚を作った歯堤の上皮の名残歯堤の名残は顎骨や歯肉の中に嚢胞を作るもので、頸部の側方にはできません。
- ⑶ 甲状腺の原基が下りた甲状舌管の名残甲状舌管の名残からできる嚢胞は、頸部の正中に生じます。
- ⑷ 鰓弓の間にあった鰓溝や頸洞の名残側頸嚢胞は、胎生期の鰓溝や頸洞が閉じきらずに残ったものと考えられています。
- ⑸ 口腔の入口を作った口窩の外胚葉の名残口窩は口腔の前方を作る構造で、頸部の側方の嚢胞とは関わりません。
解説
最も適切なのは、鰓弓の間にあった鰓溝や頸洞の名残です。胎生期の頸部では、鰓弓の間の溝が頸洞として皮膚の下に一時的に残り、ふつうは閉じて消えます。これが残ると、胸鎖乳突筋の前縁に沿った頸部の側方に側頸嚢胞ができ、壁の上皮の下にリンパ組織を伴うのが特徴です。頸部の正中にできる嚢胞は甲状舌管の名残で、発生の位置によって由来を見分けます。
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