58歳の男性。中咽頭癌に対し、両側の下顎骨を含む範囲に放射線治療を始める予定であ…
58歳の男性。中咽頭癌に対し、両側の下顎骨を含む範囲に放射線治療を始める予定である。治療開始まで3週間ある。口腔内には、下顎右側第一大臼歯に保存が難しい重度の歯周炎があり、ほかの歯は齲蝕の処置が済んでいる。歯科の対応として最も適切なのはどれか。
- ⑴ 照射中の口腔粘膜炎を防ぐため、照射の期間中は歯みがきを中止し、うがいで口の中を清潔に保つ。照射中も口腔の清掃を続けることが、粘膜炎の悪化や感染の予防に役立ちます。
- ⑵ 重度の歯周炎の歯は照射で歯周病菌が死ぬため、照射が終われば自然に治ると説明して処置は行わない。放射線で歯周炎が治ることはなく、感染源が残ると照射後の顎骨の感染の原因になります。
- ⑶ 照射の範囲に入る保存の難しい歯は治療の前に抜歯し、抜歯窩が治る期間をおいてから照射を始めてもらう。照射後の抜歯は顎骨壊死の危険が高いため、保存が難しい歯は照射前に抜歯して治癒を待ちます。
- ⑷ 照射の前に残っている歯を予防的に抜歯し、全部床義歯に置き換えてから照射を始めてもらう。保存できる歯まで抜歯する必要はなく、口腔の機能を保ちながら管理します。
- ⑸ 照射の前に抜歯すると傷が治らないため、照射が終わってから半年後に抜歯を行うことにする。照射後の顎骨は血流が乏しく、抜歯をきっかけに顎骨壊死が起こる危険が高くなります。
解説
最も適切なのは、照射の範囲に入る保存の難しい歯を治療の前に抜歯し、抜歯窩が治る期間をおいてから照射を始めてもらうことです。放射線を受けた顎骨は血管が減って治る力が落ち、照射後に抜歯をすると放射線性の顎骨壊死が起こる危険が高くなります。そのため、保存が難しい歯や感染源となる歯は照射の前に処置します。照射中も口腔の清掃を続け、照射後は齲蝕の予防のためフッ化物の応用を続けます。
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