58歳の男性。数日前から、階段を上ると左の下顎から歯にかけて締めつけられるような…
58歳の男性。数日前から、階段を上ると左の下顎から歯にかけて締めつけられるような痛みが出て、休むと数分で消えるという。歯と歯周組織に痛みを説明できる所見はなく、下顎の伝達麻酔をしても痛みの出方は変わらなかった。この痛みについて最も考えられるのはどれか。
- ⑴ 下顎の歯の歯髄に炎症があり、運動で血圧が上がったことで強まった歯髄の痛みである。歯に所見がなく伝達麻酔でも痛みが変わらないため、歯髄が原因の痛みとは考えられません。
- ⑵ 神経節に潜んでいたウイルスが再び活性化し、神経が障害されて痛む状態である。帯状疱疹の痛みは皮膚や粘膜の発疹を伴い、運動と安静で出たり消えたりはしません。
- ⑶ 咀嚼筋が過度に緊張し、筋や筋膜に生じた圧痛点から広がる痛みである。筋・筋膜の痛みは咀嚼や筋の圧迫で強まり、階段を上る運動で決まって起こるものではありません。
- ⑷ 三叉神経の枝が血管に圧迫され、発作性で電撃のような痛みが顔面に走っている。三叉神経痛は洗顔や会話などの刺激で数秒の激痛が走る形で、労作で起きる痛みではありません。
- ⑸ 心臓の筋が虚血に陥ったときの痛みが、離れた下顎に感じられる関連痛である。労作で起こり安静で消え、歯に原因がなく麻酔も効かない痛みは、狭心症の関連痛を疑います。
解説
心臓の虚血による痛みが下顎に感じられる関連痛が最も考えられます。労作で起こり安静で数分のうちに消える締めつけ感は狭心症の特徴で、心臓からの痛みの情報が体表や顎からの感覚と同じ経路に入るため、下顎や歯の痛みとして感じられることがあります。歯に原因がなく、局所麻酔で痛みが変わらない点が歯原性の痛みと区別する手がかりです。この場合は歯科治療を進めず、医科へ速やかに紹介します。
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