10歳の男児。生まれつき好中球の遊走能が低下する疾患がある。乳歯列期から歯肉の強…
10歳の男児。生まれつき好中球の遊走能が低下する疾患がある。乳歯列期から歯肉の強い炎症と歯槽骨の吸収が進み、乳歯が早くに動揺して脱落した。この患児で歯周組織の破壊が進む理由として正しいのはどれか。
- ⑴ 細菌の侵入した部位に好中球が集まれず、感染の初期の排除が働かない。好中球は細菌の侵入に最初に駆けつけて貪食する細胞で、遊走できないと初期の防御が破れます。
- ⑵ 肥満細胞が歯肉に増えて、放出したヒスタミンが歯槽骨を溶かす。ヒスタミンは血管の透過性を高める物質で、骨を溶かすのは破骨細胞です。
- ⑶ ナチュラルキラー細胞が、歯周組織の線維芽細胞を攻撃する。ナチュラルキラー細胞はウイルス感染細胞や腫瘍細胞を攻撃し、この病態の中心ではありません。
- ⑷ 唾液のリゾチームが分解され、歯面の細菌が増えて歯が溶ける。好中球の遊走の異常は唾液の酵素と関係せず、歯が溶けるのは齲蝕の経過です。
- ⑸ 形質細胞が抗体を作れず、細菌に対する免疫の記憶が残らない。この疾患の障害は好中球の遊走にあり、形質細胞による抗体の産生ではありません。
解説
細菌の侵入部位に好中球が集まれず、感染の初期の排除が働かない、が正しいです。好中球は自然免疫の中心となる細胞で、細菌が侵入すると血管から出て集まり、貪食して殺菌します。遊走能が低下すると、歯肉溝から侵入した細菌を初期に排除できず、炎症が長引いて歯周組織の破壊が若いうちから進みます。好中球の機能異常は、低年齢で起こる重い歯周炎の背景として重要です。
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