60歳の男性。膵頭部の腫瘍で胆管が閉塞し、皮膚の黄染と灰白色の便がみられる。抜歯…
60歳の男性。膵頭部の腫瘍で胆管が閉塞し、皮膚の黄染と灰白色の便がみられる。抜歯を予定して血液検査を行ったところ、プロトロンビン時間が延長していた。この延長が起こった仕組みとして正しいのはどれか。
- ⑴ 胃酸の分泌が減ったため、ビタミンB12が吸収されにくくなった。ビタミンB12の不足は大球性貧血の原因で、凝固因子の産生には関わりません。
- ⑵ 胆汁に含まれる鉄が腸に届かなくなり、骨髄で血小板が作られにくくなった。胆汁は鉄の供給源ではなく、プロトロンビン時間は血小板の数を反映しません。
- ⑶ 大腸で腸内細菌が増えすぎて、水溶性のビタミンCが失われやすくなった。ビタミンCの不足は血管壁をもろくしますが、プロトロンビン時間は延長させません。
- ⑷ 胆汁が腸に出ず脂肪の吸収が落ちたため、ビタミンKが吸収されにくくなった。脂溶性ビタミンのKは胆汁酸の助けで吸収され、不足すると凝固因子が作られにくくなります。
- ⑸ 膵臓からのインスリン分泌が減り、血中の凝固因子が分解されやすくなった。インスリンの不足が凝固因子を分解する仕組みはなく、延長の原因になりません。
解説
胆汁が腸に出ないため脂肪の吸収が落ち、ビタミンKが吸収されにくくなったことが原因です。胆汁酸は脂肪を乳化して、脂溶性ビタミンの吸収を助けます。閉塞性黄疸では胆汁が腸に届かず、灰白色の便とともにビタミンKの吸収障害が起こります。ビタミンKは肝臓でプロトロンビンなどの凝固因子が作られるのに必要なため、不足するとプロトロンビン時間が延長し、抜歯後の出血が止まりにくくなります。
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