5歳の男児。乳歯がすべて琥珀色を帯び、咬耗が著しい。エックス線検査では歯髄腔が狭…
5歳の男児。乳歯がすべて琥珀色を帯び、咬耗が著しい。エックス線検査では歯髄腔が狭くなっていると読影された。父親の永久歯にも同様の変化がみられる。この児の歯の変化の原因の分類として正しいのはどれか。
- ⑴ 乳歯の外傷で多数の歯の歯髄が壊死した結果として生じた変色である。外傷による変色は受傷した歯に限られ、全歯や父親に同じ変化が出ることはありません。
- ⑵ 糖を含む飲食物の頻回摂取で起こった、細菌による感染症である。齲蝕であれば歯質の欠損が主で、全歯の均一な琥珀色や歯髄腔の狭窄にはなりません。
- ⑶ 妊娠中に母親が服用した抗菌薬が歯に沈着した、後天性の着色である。テトラサイクリン系による着色では、父親に同じ変化がみられることは説明できません。
- ⑷ 歯の形成期に飲料水から過剰なフッ化物をとったことによる障害である。歯のフッ素症は白斑や褐色斑が主で、歯髄腔の狭窄や著しい咬耗は起こしません。
- ⑸ 遺伝子の変化によって象牙質がうまく作られない先天性の疾患である。全歯の琥珀色、咬耗、歯髄腔の狭窄と家族内の発症は象牙質形成不全症を示します。
解説
遺伝子の変化による先天性の疾患、すなわち遺伝性の象牙質形成不全症と考えられます。すべての乳歯が琥珀色を帯び、エナメル質がはがれて咬耗が著しく、歯髄腔が狭くなる所見が特徴的です。父親にも同じ変化があることから、常染色体優性の遺伝形式が示唆されます。疾病は原因によって遺伝性・先天性のものと、感染や外傷、薬物、環境などによる後天性のものに分けられ、原因の分類は予防や家族への説明に役立ちます。
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