80歳の女性。肺炎のため広域抗菌薬を3週間服用している。舌背と頬粘膜に、ぬぐうと…
80歳の女性。肺炎のため広域抗菌薬を3週間服用している。舌背と頬粘膜に、ぬぐうとはがれる白色の偽膜が多数みられる。この変化の背景にある口腔の生態系の変化として最も適切なのはどれか。
- ⑴ 抗菌薬で常在細菌叢が抑えられ、それまで少数だった真菌が増えた。常在細菌が減ると、抗菌薬の効かないカンジダが増殖する菌交代現象が起こります。
- ⑵ 抗菌薬でレンサ球菌が増え、粘膜の表面に厚い歯垢が付着した。抗菌薬はレンサ球菌を減らす方向に働き、粘膜の白い偽膜は歯垢ではありません。
- ⑶ 唾液の分泌が増えて自浄作用が高まり、粘膜表面に白い膜ができた。自浄作用が高まると病原体は減り、偽膜はむしろできにくくなります。
- ⑷ 抗菌薬で潜伏していた単純ヘルペスウイルスが再び活性化した。単純ヘルペスの再活性化では小水疱やびらんができ、偽膜の多発にはなりません。
- ⑸ 歯周ポケットの嫌気性菌が増え、粘膜の上皮を角化させた。ぬぐってはがれる偽膜は角化ではなく、真菌の菌糸と剥がれた上皮などからなります。
解説
抗菌薬によって常在細菌叢が抑えられ、真菌が増えたことが背景です。口腔には多くの種類の微生物がたがいに抑え合いながら共存しています。広域抗菌薬を長く使うと、抗菌薬の効く細菌が減り、効かないカンジダが相対的に増殖します。これを菌交代現象といい、ぬぐうとはがれる白色の偽膜を特徴とする偽膜性カンジダ症が生じます。高齢や免疫の低下、義歯の不潔もこの変化を起こしやすくします。
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