A さんは声をかけても返答したり目を開けたりすることもなく、穏やかな表情で眠って…
次の文を読み91〜93 の問いに答えよ。A さん(88 歳、男性)は妻(82 歳)と2人で暮らしている。息子2人は独立して生活している。要介護度は5で、エアマットレスを使用している。食事は妻の介助で1日1 回ペースト食を食べているがむせることもあり、食事が全くとれない日もある。排泄はオムツを使用し、毎日訪問介護サービスを利用して、オムツ交換と陰部洗浄を受けている。訪問看護は週3回利用している。A さんは妻が話しかけると返事はするが自発的な会話はない。着替えをするときに上肢を動かすと苦痛表情がある。
A さんは声をかけても返答したり目を開けたりすることもなく、穏やかな表情で眠っていることが多くなった。A さんの妻は「夫は話しかけても何も答えてくれないので、どうしたらよいか分かりません」と訪問看護師に話した。このときの妻への声かけで適切なのはどれか。
- ⑴ 「A さんの体にできるだけ触れるようにしましょう」触覚や聴覚は比較的最後まで保たれるとされます。手を握る、体をなでるといった関わりは本人の安楽になり、妻自身の支えにもなります。
- ⑵ 「A さんは苦痛を感じることはありません」苦痛がないと言い切ることはできません。表情や体の動き、呼吸などから苦痛の有無を観察して評価し続ける必要があります。
- ⑶ 「A さんが休めるよう静かにしましょう」静かにするよう促すと、そばで関わりたいという妻の気持ちを遠ざけてしまい、後悔につながることがあります。
- ⑷ 「A さんの世話を頑張りましょう」どうしたらよいか分からないという戸惑いに応えておらず、さらに頑張ることを求める言葉になってしまいます。
解説
正解は⑴です。意識の水準が下がっても、触覚や聴覚は比較的最後まで保たれるとされています。手を握る、体をやさしくなでる、身体をふくといった触れる関わりは、本人にとって安心と安楽につながり、同時に妻にとっても「自分にもできることがある」という支えになり、後の悲嘆をやわらげる助けにもなります。返答がないことに戸惑う気持ちを受け止めながら、話しかけてよいこと、そばにいることに意味があることを具体的に伝えます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-03_04_05.html)を加工して作成