まず行うべき検査はどれか。
82 歳の女性。腰痛を主訴に救急外来を受診した。現病歴 : 2 年前から腰痛はあったが、生活に支障はなかった。昨日スーパーから買ってきたものを冷蔵庫に詰めるため前屈みになった際に腰痛が増悪した。夜間睡眠中には腰痛はなかった。今朝、起床時にベッドから起き上がる際は腰痛のため時間がかかり、洗顔も困難であった。腰痛による体動困難のため、家族が付き添って救急外来を受診した。既往歴 : 48 歳時に胃癌で胃切除。71 歳時から高血圧で自宅近くの診療所に通院中である。6 か月前から膝痛のため鎮痛薬を処方され頓用で使用している。グルココルチコイドの使用歴はない。生活歴 : 喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。家族歴 : 母が大腿骨近位部骨折で手術歴がある。現 症 : 車椅子に乗って診察室に入室。意識は清明。身長158 cm(20 歳代から身長低下4 cm)、体重52 kg(直近6 か月で体重に変化はない)。体温36.7 ℃。脈拍76/分、整。血圧は上肢106/80mmHg、下肢114/84mmHg。呼吸数18/分。SpO2 98 %(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。排尿障害はなく、肉眼的な血尿は認めないとのことだった。背部正中の胸腰椎移行部に叩打痛を認める。四肢の筋力は保たれており、腱反射に異常を認めない。
まず行うべき検査はどれか。
- ⑴ 尿検査尿路疾患を疑う所見に乏しく、まず行う検査ではありません。
- ⑵ 骨密度検査骨密度検査は骨粗鬆症の評価に必要ですが、急性期にまず行う検査ではありません。
- ⑶ 腹部単純MRIMRIは新鮮骨折の判定に有用ですが、まずはX線で評価します。
- ⑷ 腹部超音波検査腹部臓器の疾患を疑う所見に乏しく、超音波検査はまず行う検査ではありません。
- ⑸ 脊椎エックス線撮影椎体の変形を確認するため、まず脊椎エックス線撮影を行います。
解説
正解は⑸です。骨粗鬆症の危険因子をもつ高齢女性で、軽微な外力後の体動時腰痛と胸腰椎移行部の叩打痛から脊椎圧迫骨折が疑われます。まず行うべき検査は脊椎エックス線撮影で、椎体の楔状変形や高さの減少を確認します。新鮮骨折かどうかの判定や他疾患との鑑別に MRIが有用ですが、まずは簡便なX線で評価します。骨密度検査は骨粗鬆症の診断と治療方針決定のために、急性期の評価に続いて行います。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成