まず投与すべきなのはどれか。
74 歳の男性。嘔吐、腹痛および下痢を主訴に来院した。現病歴 : 2 日前に生牡蠣〈カキ〉を摂取後、昨夜から上記症状を認め、食欲低下、頻回の嘔吐および水様下痢が継続している。既往歴 : 25 歳時に急性虫垂炎で手術。生活歴 : 喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。家族歴 : 特記すべきことはない。現 症 : 意識レベルはJCSⅡ-10。身長168 cm、体重52 kg。体温 37.8 ℃。脈拍 132/分、整。血圧82/76mmHg。呼吸数 30/分。SpO2 95 %(room air)。毛細血管再充満時間3 秒。皮膚は乾燥しており、ツルゴールは低下している。口腔内は乾燥している。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部はやや膨満しており、軽度の圧痛があるが、反跳痛はない。検査所見 : 血液所見:赤血球520 万、Hb 14.8 g/dL、Ht 48 %、白血球18,200、血小板21 万。血液生化学所見:総蛋白6.5 g/dL、アルブミン3.0 g/dL、総ビリルビン1.2 mg/dL、AST 20 U/L、ALT 30 U/L、LD 140 U/L(基準124~222)、ALP 80 U/L(基準38~113)、γ-GT 240 U/L(基準13~64)、尿素窒素38 mg/dL、クレアチニン1.6 mg/dL、Na 145 mEq/L、K 4.8 mEq/L、Cl 101 mEq/L。CRP 2.8 mg/dL。便中ノロウイルス抗原陽性。
まず投与すべきなのはどれか。
- ⑴ 解熱薬発熱は軽度で、解熱薬はショックの治療になりません。
- ⑵ 止痢薬止痢薬は病原体の排出を妨げるため、感染性腸炎では避けます。
- ⑶ 昇圧薬循環血液量減少性ショックであり、まず輸液で補充します。
- ⑷ 細胞外液高度の脱水によるショックであり、まず細胞外液を急速に投与します。
- ⑸ 抗ウイルス薬ノロウイルスに有効な抗ウイルス薬はありません。
解説
正解は⑷です。生牡蠣摂取後のノロウイルス胃腸炎により、頻回の嘔吐と水様下痢が続き、意識障害、頻脈、低血圧、皮膚と口腔の乾燥、ツルゴール低下、Ht上昇、腎機能低下を認め、高度の脱水による循環血液量減少性ショックの状態です。まず細胞外液(生理食塩液や乳酸リンゲル液)を急速に投与して循環血液量を補充します。ノロウイルスに有効な抗ウイルス薬はなく、止痢薬はウイルスの排出を遅らせるため使用を避けます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成