72 歳の男性。全身倦怠感を主訴に来院した。3 か月前から家庭菜園での作業時に息…
72 歳の男性。全身倦怠感を主訴に来院した。3 か月前から家庭菜園での作業時に息切れがあり、次第に口渇や全身倦怠感を自覚したため受診した。既往歴はなく、毎年健診を受診して異常を指摘されたことはない。身長170 cm、体重65 kg。体温37.0 ℃。脈拍92/分、整。血圧108/66mmHg。頸部リンパ節を触知しない。口腔内と腋窩は乾燥している。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。皮膚のツルゴールは低下している。尿所見:蛋白1 +、潜血(±)。血液所見:赤血球230 万、Hb 6.9 g/dL、Ht 20 %、白血球7,700、血小板16 万。血液生化学所見:総蛋白8.8 g/dL、アルブミン2.8 g/dL、尿素窒素56 mg/dL、クレアチニン5.5 mg/dL、尿酸8.3 mg/dL、血糖102 mg/dL、HbA1c 5.2 %(基準4.9~6.0)、Na 140 mEq/L、K 5.0 mEq/L、Cl 115 mEq/L、Ca 12.1 mg/dL、P 4.5 mg/dL。血清免疫電気泳動でM 蛋白を認める。腎障害に対してまず行うべきなのはどれか。
- ⑴ 血液透析尿毒症症状や高カリウム血症などの緊急透析の適応は現時点ではありません。
- ⑵ 尿酸降下薬投与尿酸値は軽度上昇にとどまり、腎障害に対してまず行うことではありません。
- ⑶ 生理食塩液持続投与脱水の補正と高カルシウム血症の是正のため、まず生理食塩液を投与します。
- ⑷ エリスロポエチン製剤投与エリスロポエチン製剤は貧血の治療で、腎障害に対して優先されるものではありません。
- ⑸ 活性型ビタミンD 製剤投与活性型ビタミンD製剤は高カルシウム血症を悪化させるため禁忌です。
解説
正解は⑶です。高齢者で貧血、総蛋白とアルブミンの乖離(グロブリン増加)、M蛋白、腎障害、高カルシウム血症を認め、多発性骨髄腫が考えられます。口腔や腋窩の乾燥、ツルゴール低下があり、高カルシウム血症による多尿と脱水が腎障害を悪化させています。腎障害に対してまず行うべきことは、生理食塩液の持続投与による脱水の補正と、カルシウム排泄の促進です。そのうえで原疾患の治療やビスホスホネート製剤の投与を行います。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成