45 歳の女性。左手の疼痛と腫脹を主訴に来院した。昨夜、飼い猫に左手関節付近をか…
45 歳の女性。左手の疼痛と腫脹を主訴に来院した。昨夜、飼い猫に左手関節付近をかまれた。今朝は創が小さく出血も止まっていたため出勤し、事務作業を行った。昼ごろから疼痛が増悪し、夕方になり疼痛と腫脹で手指が動かせなくなったため受診した。左手関節の伸側と屈側に径3 ~5 mm の創を2 か所認める。左手背は腫脹し、発赤を肘関節付近まで認める。左の手指は全体的に腫脹し、疼痛で伸展が困難であった。実施すべきでない処置はどれか。
- ⑴ 創の洗浄実施すべき処置です。十分な洗浄で創内の細菌を減らします。
- ⑵ 創の縫合感染創を縫合すると細菌を閉じ込め感染が悪化するため、実施すべきではありません。
- ⑶ 抗菌薬の投与実施すべき処置です。Pasteurellaを想定しアンピシリン・スルバクタムなどを投与します。
- ⑷ 左上肢の安静実施すべき処置です。安静と挙上で腫脹と炎症の軽減を図ります。
- ⑸ 破傷風トキソイドの投与実施すべき処置です。動物咬傷は破傷風のリスクがあり、予防接種歴に応じて投与します。
解説
正解は⑵です。猫咬傷は歯が鋭く細いため深い刺創となりやすく、Pasteurella multocidaなどによる感染を起こしやすいのが特徴です。本例は受傷から1日以内に手背の腫脹と肘付近までの発赤、手指の運動障害を来しており、蜂窩織炎や化膿性腱鞘炎が疑われます。動物咬傷、特に感染を伴う創は、縫合すると細菌を閉じ込めて感染を悪化させるため、原則として一次縫合は行いません。十分な洗浄、抗菌薬投与、安静挙上、破傷風予防を行います。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成