45 歳の男性。「認知症にならないか心配だ」と言って来院した。仕事を含めて日常生…
45 歳の男性。「認知症にならないか心配だ」と言って来院した。仕事を含めて日常生活に支障はなく、周囲から間違いを指摘されることはない。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。母親が45 歳時にAlzheimer 型認知症を発症し、63 歳で死亡したが、他の家族に同病発症者はいない。身長172 cm、体重68 kg。脈拍80/分、整。血圧168/104mmHg。Mini-Mental State Examination〈MMSE〉は30 点(30 点満点)であった。他の神経診察で異常を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液生化学所見:尿酸6.2 mg/dL、空腹時血糖98 mg/dL、トリグリセリド68 mg/dL、HDL コレステロール56 mg/dL、LDL コレステロール120 mg/dL。心電図に異常を認めない。患者への説明で適切なのはどれか。
- ⑴ 「家族性のAlzheimer 型認知症が疑われます。遺伝子検査を行いましょう」発症者は母親のみで、家族性Alzheimer病を疑い遺伝子検査を勧める根拠は乏しいです。
- ⑵ 「高血圧はAlzheimer 型認知症のリスクファクターです。対策を始めましょう」中年期の高血圧は認知症の修正可能な危険因子で、対策を始めるのが適切です。
- ⑶ 「将来にわたってAlzheimer 型認知症の心配はありません。様子をみましょう」将来の発症を否定することはできず、根拠のない保証は不適切です。
- ⑷ 「頭部MRI でAlzheimer 型認知症を診断することができます。予約しましょう」無症状の段階で頭部MRIによりAlzheimer型認知症を診断することはできません。
- ⑸ 「現時点でAlzheimer 型認知症の治療法はありません。気にしないことにしましょう」危険因子の管理など予防的対策や治療薬もあり、気にしないよう勧めるのは不適切です。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑵です。45歳の男性で認知機能は正常であり、母親以外に発症者がいないため、常染色体顕性遺伝の家族性Alzheimer病を強く疑う状況ではありません。本例は血圧168/104mmHgの未治療の高血圧があり、中年期の高血圧はAlzheimer型認知症を含む認知症の修正可能な危険因子とされています。したがって、高血圧の治療など生活習慣病の対策を始めることを勧めるのが適切です。現時点で無症状の人を画像で診断することはできない点も説明します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成