82 歳の男性。悪心と嘔吐を主訴に来院した。3 か月前に胸部中部食道癌と診断され…
82 歳の男性。悪心と嘔吐を主訴に来院した。3 か月前に胸部中部食道癌と診断されたが、積極的な治療を希望しなかった。1 か月前から食物のつかえ感を自覚している。5 日前から悪心があり、急いで食べると嘔吐するようになった。喫煙は20 本/日を60 年間。飲酒は焼酎2 合/日を62 年間。意識は清明。身長170 cm、体重55 kg。体重は1 か月で2 kg 減少した。脈拍68/分、整。血圧126/58mmHg。呼吸数12/分。血液所見:赤血球318 万、Hb 10.6 g/dL、Ht 32 %、白血球6,800、血小板24 万。血液生化学所見:総蛋白6.8 g/dL、アルブミン3.8 g/dL、総ビリルビン0.6 mg/dL、直接ビリルビン0.4 mg/dL、AST 24 U/L、ALT 18 U/L、LD 188 U/L(基準124~222)、尿素窒素22 mg/dL、クレアチニン0.8 mg/dL、Na 134 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 98 mEq/L。CRP 1.0 mg/dL。胸腹部造影CTでは、遠隔リンパ節転移や他臓器転移はなかった。気管支や大動脈浸潤も認めなかった。上部消化管内視鏡検査では食道癌が増大し、経鼻内視鏡がかろうじて通過できるほどの強い狭窄を認めた。6 か月以上の予後が予想されたため、経皮内視鏡的胃瘻造設術を施行した。造設されたボタン型胃瘻カテーテルの外観(別冊No. 27)を別に示す。今後の胃瘻管理について、栄養サポートチーム〈NST〉にコンサルテーションを行った。正しいのはどれか。
- ⑴ 入浴は可能である。瘻孔が完成していれば入浴は可能で、周囲を洗浄して清潔を保ちます。
- ⑵ 経口摂取は禁止する。胃瘻は経口摂取を禁止するものではなく、可能な範囲で併用できます。
- ⑶ 経腸栄養剤の注入は無菌操作で行う。注入は清潔操作で十分で、無菌操作までは必要ありません。
- ⑷ 経腸栄養剤は開封後数日間使用してよい。開封後の経腸栄養剤は細菌が増殖しやすく、長時間の使用は避けます。
- ⑸ 瘻孔周囲は毎日ポビドンヨードで消毒する。瘻孔周囲の消毒は不要で、石けんと微温湯での洗浄が推奨されます。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑴です。胃瘻が完成していれば瘻孔は皮膚と同様に扱え、入浴やシャワーは可能で、瘻孔周囲は石けんと微温湯で洗浄して清潔を保ちます。消毒は不要で、むしろ皮膚障害の原因になります。経腸栄養剤の注入は清潔操作で行えばよく、無菌操作は必要ありません。開封後の栄養剤は細菌増殖のおそれがあるため速やかに使い切ります。胃瘻造設後も、嚥下機能と通過性に応じて経口摂取を楽しみとして続けることは可能です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成