39 歳の男性。口腔粘膜の出血と四肢の紫斑を主訴に来院した。5 日前から四肢に紫…
39 歳の男性。口腔粘膜の出血と四肢の紫斑を主訴に来院した。5 日前から四肢に紫斑を自覚し、昨日、口腔粘膜からの出血を認めたため受診した。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。体温36.2 ℃。血圧124/76mmHg。眼瞼結膜は貧血様であるが、眼球結膜に黄染を認めない。口腔粘膜に点状出血が散在している。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢に点状出血と紫斑を認める。血液所見:赤血球362 万、Hb 10.6 g/dL、Ht 34 %、白血球1,600(芽球23 %、前骨髄球19 %、分葉核好中球37 %、単球8%、リンパ球13 %)、血小板1.5 万、PT-INR 3.0(基準0.9~1.1)、APTT 41.6 秒(基準対照32.2)、フィブリノゲン54 mg/dL(基準186~355)、FDP 144 μg/mL(基準10 以下)。血液生化学所見:総蛋白7.9 g/dL、アルブミン4.6 g/dL、総ビリルビン0.8 mg/dL、AST 72 U/L、ALT 60 U/L、LD 322 U/L(基準124~222)、尿素窒素28 mg/dL、クレアチニン0.6 mg/dL。CRP 2.1 mg/dL。末梢血塗抹標本で破砕赤血球を認めなかった。適切な対応はどれか。
- ⑴ 血漿交換の実施破砕赤血球がなくTTPは否定的で、血漿交換の適応はありません。
- ⑵ 自宅安静を指示出血傾向とDICを伴う急性白血病であり、自宅安静は危険です。
- ⑶ 抗ウイルス薬の投与ウイルス感染症を示唆する所見ではなく、抗ウイルス薬は無効です。
- ⑷ 分化誘導療法の実施APLにはATRAによる分化誘導療法を速やかに開始するのが標準治療です。
- ⑸ 顆粒球コロニー刺激因子〈G-CSF〉の投与G-CSFは白血病細胞を増殖させるおそれがあり、APLの治療に用いません。
解説
正解は⑷です。末梢血に芽球と前骨髄球が多数みられ、著明な血小板減少に加え、フィブリノゲン著減、FDP著増、PT延長を伴う線溶亢進型の播種性血管内凝固(DIC)があり、急性前骨髄球性白血病(APL)と考えられます。PML::RARA融合遺伝子を確認しつつ、ただちに全トランス型レチノイン酸(ATRA)による分化誘導療法を開始し、亜ヒ酸を併用することもあります。同時に血小板やフィブリノゲンを補充してDICによる出血死を防ぎます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成