42 歳の女性。1 か月前から続く易疲労感を主訴に来院した。昨年の健康診断では異…
42 歳の女性。1 か月前から続く易疲労感を主訴に来院した。昨年の健康診断では異常を指摘されなかった。2 か月前に感冒に罹患した。2 週間前からトイレに行く回数が増えた。意識は清明。身長163 cm、体重48 kg。血圧130/72mmHg。尿所見:蛋白(-)、糖3 +、ケトン体2 +。血液生化学所見:総蛋白8.2 g/dL、アルブミン4.2 g/dL、AST 22 U/L、ALT 15 U/L、アミラーゼ152 U/L(基準44~132)、尿素窒素23 mg/dL、クレアチニン0.7 mg/dL、尿酸7.2 mg/dL、血糖384mg/dL、HbA1c11.4 %(基準4.9~6.0)、Na 134 mEq/L、K 4.6 mEq/L、Cl 98mEq/L、C ペプチド〈CPR〉0.5 ng/mL(基準0.8~2.5)。適切な治療はどれか。
- ⑴ インスリンの注射インスリン分泌が枯渇しケトーシスを伴っており、インスリン補充が不可欠です。
- ⑵ DPP-4 阻害薬の内服DPP-4阻害薬は内因性インスリン分泌を促す薬で、分泌が枯渇した本例では効果が乏しいです。
- ⑶ SGLT 2 阻害薬の内服SGLT2阻害薬はインスリン欠乏状態でケトアシドーシスを誘発する危険があります。
- ⑷ 塩酸メトホルミンの内服メトホルミンはインスリン欠乏とケトーシスのある状態では不適切で、乳酸アシドーシスの懸念もあります。
- ⑸ GLP-1 受容体作動薬の注射GLP-1受容体作動薬はインスリン分泌促進が主な作用で、インスリン依存状態には代替になりません。
解説
正解は⑴です。昨年の健診で異常がなかったにもかかわらず、感冒様症状の後に口渇・多尿と著明な高血糖、HbA1c 11.4%、尿ケトン体陽性を示し、Cペプチドも0.5ng/mLと低下しています。内因性インスリン分泌が枯渇した1型糖尿病(急性発症)と考えられ、ケトーシスも伴っているため、インスリン注射による治療が必須です。インスリン分泌能が保たれていることを前提とする経口血糖降下薬やGLP-1受容体作動薬では十分に対応できないと考えます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成